グーグルやアップルは在宅認める方針

 こうしたマスク氏の強硬な姿勢は、米シリコンバレーに拠点を置く多くの企業とは異なると、ウォール・ストリート・ジャーナルは伝えている。

 米グーグルは22年4月に大半の社員が週3日出社するハイブリッド型勤務に移行した。だが、米労働市場の逼迫や、過去2年にわたり在宅勤務が容認されたことを背景に、多くの技術職員が反発した。グーグルでは16万6000人の社員のうち、1万4000人超が完全なリモート勤務か、新しい職場への転勤を求めた。グーグルの広報担当者によると、同社はそれらの要求の85%を認めたという。

 米アップルは22年4月前半に少なくとも週1回の出社を開始。その後週2日に移行し、5月下旬から月・火・木曜日の週3日にする計画だった。だが柔軟な働き方を求める社員からの猛反発を受け、その後、当面週2日出社を継続することにした。

 アマゾン・ドット・コムは21年10月、オフィス職社員の出社日数を固定せず、出社の判断は各部署の管理者に任せる方針を明らかにした。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、米ゼネラル・モーターズ(GM)も同様に、現場以外でも仕事が可能な社員に対し、マネジャーと相談し最も効率的に働ける場所を決められるようにした。米フォード・モーターも同様のアプローチで柔軟な働き方を可能にしているという。

マスク氏、「出社」は「勤勉な働き」

 マスク氏は、20年3月にテスラの工場が立地する米カリフォルニア州アラメダ郡の保健当局が工場の操業停止命令を出した際、「新型コロナウイルスよるパニックのリスクがウイルス自体のリスクを上回っている」と猛反発。「人々に自由を返せ」と訴えていた。

 マスク氏は「出社」と「勤勉な働き」を結び付けて考えているという。同氏は先ごろツイッターへの投稿で、従業員が自宅で怠けているとの考えを示したという。「すべての在宅勤務スタッフは、『我々は懸命に働く必要はない』という悪い考えを吹き込もうとしている」と批判した。

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