■〔シリーズ〕DX企画推進人材のための「ビジネス発想力養成講座」はこちら

 この連載はDX企画、推進人材が身に付けるべきビジネス発想力の養成を目的としている。DXやデジタルビジネスの成功事例には「ビジネスの仕掛け」がうまく使われており、この連載ではそれが学べる。今回も応用編として、「ビジネスの仕掛け」(シェアリング、プラットフォーム、オンライン化、クラウドファンディング〈購入型〉など)を単体で、または、組み合わせてビジネスを発想する考え方や事例を解説していく。

 今回のテーマは「コンテンツマーケティング(Content marketing)実施力」である。

 例えば、あなたは知り合いに誘われて山に登ろうとしている。ウエアやリュックは家にあったものを持ってきた。待ち合わせの登山口駅には、カラフルなウエアを着て、素敵なリュックを背負い、本格的なシューズを履いている人が多くて気後れする。

 あなたは「場違いなところに来た」と後悔するが、友人は「最初はそんなものだ」と言って頂上を目指す。やっとの思いで頂上にたどり着くと友人はバーナーを使って手際よくランチを作った。それを見ながら「カッコいいな」と思い、あなたは登山に興味を持つ。

 帰りの電車の中で、「登山 初心者 ウエア」とスマホで検索をする。多くのショップのサイトが出てくるが、何を買ったらよいのか分からない。すると、「山好き店長のブログ」というサイトが目に留まった。あなたは、早速アクセスし、急いでそのブログを物色する。

 書いている人は、本格的な山登りをしていそうだが、「自分も最初は初心者だった」と書いてある。あなたは少し安心しながら、幾つもの記事を読む。分かりやすくて一気に読めてしまう。自分の疑問を解消させることが書いてある。

 家に帰ってからも毎日、ブログを読んだあなたは、もう新しいウエアや道具を持って山に登りたくなる気持ちが抑えられない・・・、何を買えばよいかはブログに書いてある。ブログ主が店長をしている登山用品店なら安心だ。

 あなたはこの店のお薦めのウエアをそろえ、お薦めの道具を買い、お薦めの山に登る・・・、これが消費者から見たコンテンツマーケティングの事例である。

 このコンテンツマーケティングを事業者から見ると、ターゲットとなる消費者(ユーザー)に、価値ある情報(コンテンツ)を提供し、ユーザーの共感を醸成しながら、ファンになってもらい、最終的に商品を買ってもらうことを期待する「ビジネスの仕掛け」になる。

 これと対になるビジネスの仕掛けは「リストマーケティング」。これは見込客リストに対し、販売したい商品を薦める方法なので、どうしても売り込み色が強くなる。一方、コンテンツマーケティングは商品の売り込み色を消し、消費者の共感を得ることを重視、最後に商品を買ってもらうことを期待する方法だ。

営業を強化したら逆に売れなくなった住宅メーカーの新社長は・・・

 ある住宅メーカーがあった。堅実な事業を行っていたが、ある時、社長が息子に代替わりした。新社長は他の会社で営業をやっていた人物で、前から会社の営業は弱いと感じていた。自分が後を継いだので、ここぞとばかりに営業を強化したが、売れるどころか、先代の時よりも売れなくなってしまった。

 困った社長は、家を売る方法を社外の人に考えてもらうことにした。相談した人は2人。1人は大学時代の友人で、大きな企業で営業部長をしているAさん、もう1人は市役所で市民の苦情や不安の相談を受けているBさんだった。