■DX企画推進人材のための「ビジネス発想力養成講座」(1)はこちら

 この連載はDX企画、推進人材が身に付けるべきビジネス発想力の養成を目的としている。DXやデジタルビジネスの成功事例には「ビジネスの仕掛け」がうまく使われており、この連載ではそれが学べる。第11回からの応用編では、ビジネスの仕掛け(シェアリング、プラットフォーム、オンライン化、クラウドファンディング〈購入型〉など)を単体で、または、組み合わせてビジネスを発想する考え方や事例を解説している。

 今回のテーマは「マッチング×オンライン化」である。マッチングとは一般に、お客同士や、お客と商材、お客と業者、業者同士などを第三者がつなげ、その対価として金銭(手数料)やその他の報酬を受け取る「ビジネスの仕掛け」である。

 例えば、あなたは「コロナ禍で長く同じ姿勢で座っていたことで腰を痛めた」とする。オンライン会議中に腰をひねった瞬間、激痛が走る。「これはいけない。まずい」と思ったが、もう後の祭りだ。そこから立って体の向きを変えるのも、ひどく時間がかかるようになってしまった。

 あなたはネットで探し、「急な腰痛で困ったら」というサイトを見る。良い医者やマッサージ店が紹介されている。全ての情報を読むには会員登録が必要だが、早く探したいので会員登録も苦にならない。探した最高ランクのマッサージ店のところにタクシーで20分かけて行って施術を受ける。お客を得たマッサージ店はお客を送り込んできたサイト(マッチングサイト)に送客手数料を払う・・・、これが「マッチング×オンライン化」の事例である。

 マッチングといえば、皆さんは何をイメージするだろうか。アパートやマンションの紹介サイト、レストランの紹介サイト、ホテルや旅館の予約サイト、就職情報サイト、転職紹介サイトなど、マッチングを行うサイトは枚挙にいとまがない。

 マッチングは昔から商取引の基本で、リアル世界での事例には街の不動産の仲介がある。しかし、これは商圏が狭く、商いが大きくならないという制約があった。それを変えたのがオンライン化だった。

 これと同様に商圏の制約が外れたものには、C2C(個人間取引)のスキル販売などがあり、オンライン化で商圏を全国に広げたマッチングサイトが発生、ビジネスとして巨大化した。

 「マッチング×オンライン化」の「ビジネスの仕掛け」を成功させるには、「人に商材を売るのが商売である」という考えだけではなく、「ニーズのある人とそのニーズを満たせる人や商材をマッチングすることで対価を得ることも商売である」という認識を持たなくてはならない。この事例を説明したい。

「お客を奪われた町の電機屋」を継いだ息子は・・・

 ある町に家電製品を売ったり、修理している会社があった。以前は近所に家電製品が売れていたが、家電量販店やECサイトにお客を奪われ、現在では家電の修理やエアコンの掃除で細々と収入を得る日々である。

 この状況で、現社長の息子に代替わりをした。新社長はこのままでは先がないと思い、副業で新しいビジネスを始めたが、どれもうまくいかなかった。困った新社長は、どうすればよいかを知り合いに考えてもらうことにした。

 指名した人は2人。1人は大学時代の友人で、ネット販売会社で働くAさん、もう1人は親戚でマンションの管理人をしているBさんだった。