北関東を拠点にスーパーセンターなどを展開するベイシアは、2020年後半からマーケティング統括本部本部長、デジタル開発本部本部長に亀山博史氏を迎え、本気でDXに取り組んできた。1年間という短期間でアプリ、ネットスーパー、デジタルプロモーションと立て続けに成果を出してきた同社は、どのような取り組みを、いつ、どのように行ってきたのか。その裏側にある戦略と実効性、スピードを高めるポイントを、豊富な事例を交えながら、亀山氏が実務視点で解説していく。
※本コンテンツは2022年3月25日に開催されたJBPress主催「第7回 リテールDXフォーラム」の基調講演「DXのより良い始め方~会社を巻き込み、結果を出すための方法論~」の内容を採録したものです。
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スピード感あるDX推進の第一歩は「デジタルリーダーの採用」
群馬県前橋市に本社を構えるベイシアは、カインズ、ワークマンを含む全28社でベイシアブループを構成し、グループ全体で1兆円超の売り上げ規模を誇る。その中にあってベイシアは、衣食住を扱うショッピングセンターなどを群馬県・埼玉県・千葉県を中心に展開し、売上高は3000億円を超えている。
「本日お話しするのは、私が着任してから、この1年間で実践してきたことです」と切り出したのは、ベイシアでマーケティング統括本部本部長 兼 デジタル開発本部本部長を務める亀山博史氏だ。コンサルティングファームやEC企業を経て、直近ではスターバックス コーヒー ジャパンで、テクノロジー部門のトップとしてデジタル化を推進。2018年からは、日経BP社の「日経ITイノベーターズ」幹事会員としても活動しており、2020年10月にベイシアのマーケティング統括本部本部長、デジタル開発本部本部長として着任した。
上図は、亀山氏が着任後の同社のDXの歩みを概観したものだ。マーケティング統括本部とデジタル開発本部の立ち上げから、アプリのローンチ、デジタル人材の採用、ネットスーパー事業への参入、マーケティングオートメーション(MA)システムの導入、そしてオウンドメディアの立ち上げなど、矢継ぎ早に進めてきた。
「なぜ、短期間でこれだけのことができたのか。当社で実際に行ったことも含めながら、7つのポイントをお話ししていきます」と亀山氏は言う。
1つ目のポイントは、最初の取り組みでもある「デジタルリーダーの採用」だった。「スピード感を持ってデジタル化を進めるために、経験豊富なデジタルリーダーを外部から採用することは非常に重要です」と亀山氏は示唆する。
デジタルリーダーはまず、企業のトップと1on1ミーティングを行い、DXの理解を深めた上で「応援団」になってもらう。また、経営会議では、小さな成功事例を披露し、データを活用して施策の意義を説明しながら、経営陣からの信頼を積み上げていく。さらに、本部のリーダークラスに対して計画を共有し、意見を交換しながら、デジタルマーケティングの内容や目的を理解してもらうことも重要な課題だという。