なぜ3人がいいのかということを、2つの分野から説明する。

 1つ目は、経験則、ことわざ、いにしえの知恵である。例えば、以下のように3人の強さが人類の知恵として語り継がれている。

三人寄れば文殊の知恵
・三本の矢(毛利元就の教え)
・三人にして迷うことなし
・三人市虎をなす(市虎三伝)

 
 2つ目は、集団心理学・行動科学系実験の知見からである。以下のように3人の強さが実験結果などから説明されている。

・3人が結束すれば十分に周りに影響を及ぼす(4人以上に増えてもさほど効果は高まらない)
・3人いれば、単なる"変わり者"や異端児とは見られにくい(周りから無視・嘲笑されにくい)

 このあたりは、ソロモン・アッシュの同調行動実験(1951年)などが古典的研究として知られている。

 そして、私は3人が集まると生じる心理や力学があるように思う。

・くじけそうになったとき、励まし合える(他の2人のがんばりに刺激を受けて意欲が高まる)
・1人だと諦めてしまう状況でも、他の2人も諦めるとは限らないので、チームとして諦めにくい
・ある人にとって相性の悪い相手も、別の人はうまく対応できるかもしれないので、頓挫しにくい
・3人がそれぞれのネットワークを持っているので、"しかるべき誰か"にアプローチできる可能性が高い
・3人は誰かと誰かがもめたとしても、誰かが仲介役になることで、紛糾状態・決裂にはなりにくい

 これらが、3人集まることのメリットだと考える。

 新しいことを始める場合、早い段階で3人の"団"を形成できるかどうかが一つの"鍵"になる。

コンサルタント 塚松一也 (つかまつ かずや)

R&Dコンサルティング事業本部
シニア・コンサルタント
全日本能率連盟認定マスター・マネジメント・コンサルタント

イノベーションの支援、ナレッジマネジメント、プロジェクトマネジメントなどの改善を支援。変えることに本気なクライアントのセコンドとしてじっくりと変革を促すコンサルティングスタイル。
ていねいな説明、わかりやすい資料をこころがけている。
幅広い業界での支援実績多数。