KDDI シニアディレクター コーポレート統括本部 経営管理本部 副本部長 兼 経営管理部長の米原浩之氏(撮影:榊水麗)
金融サービスや携帯電話事業が堅調に推移し、2025年4~9月期の連結決算で売上高が前年同期比3.8%増、純利益が前年同期比7.6%増となったKDDI。通信事業を中心に多方面に事業を展開しているが、その経営計画の策定と実行には、いわゆる管理会計の緻密なチェック体制と、その実行を担うFP&A(財務計画・分析)組織の存在が不可欠だ。このチームをリードするシニアディレクター コーポレート統括本部 経営管理本部 副本部長 兼 経営管理部長の米原浩之氏に、ストックビジネスの利益を最大化し、成長投資につなげるための仕組みと実践について聞いた。
単価×数量で経営計画の実効性を精査する
──KDDIは法人、個人向けの通信事業を中心に、ネットワークやITなどのBtoB事業、銀行、証券などの金融事業など、事業の多角化を進めています。経営管理部門として、各事業の分析をどう進めていますか。
米原浩之氏(以下、敬称略) 当社の経営管理部門は、いわゆるFP&A組織として、全社の収益成長に向けた経営陣への情報提供を行っています。
具体的には、3年先までの中期経営計画をベースに、「マスタープラン」と呼ぶ1年ごとの事業計画を策定し、さらにそれを月次に細分化して目標と実績の乖離(かいり)をキャッチアップすることが仕事です。実は3カ年の中期経営計画自体が“毎年”ローリングで見直されるため、実質的には、1年ごとに計画実現の精度を高めていく活動になります。
その中で各事業を分析するわけですが、基本的にはどの事業でも「単価×数量」という形で表現できます。金額だけでなく、その前提となるパラメータの計画と実績を追いかけ、足元状況や打ち手検討のポイントを可視化することが経営管理部門の仕事です。
もっとも、金融事業など一部の領域では、流通総額に対する比率など独自の指標を柱に据えなければいけません。例えば、決済ビジネスであれば「決済取扱高」など、収益の源泉が通信のような単価×数量とは異なります。そこはケースバイケースで重要指標を設定して検証することになります。






