1. 報告書でカバーされていない中央銀行デジタル通貨の利点やリスク、論点にはどのようなものがあるか?
2. 中央銀行デジタル通貨が潜在的にもたらし得るベネフィットの中で、中央銀行デジタル通貨以外の方法を用いた方が、より実現しやすいものはあるか?
3. 中央銀行デジタル通貨が金融包摂にもたらす効果は、プラスとマイナスのどちらが大きいか?
4. 中央銀行デジタル通貨は金融政策の有効性に影響を及ぼすか?
5. 中央銀行デジタル通貨は金融の安定にどのような影響を及ぼすか? その影響はプラスとマイナスのどちらが大きいか?
6. 中央銀行デジタル通貨は金融セクターにマイナスの影響を及ぼし得るか? その影響は、ステーブルコインやノンバンクの発行する決済手段とどう違うのか?
7. 中央銀行デジタル通貨が金融セクターに及ぼし得る影響を緩和する方法はあるか? これらの方法は、中央銀行デジタル通貨の潜在的なベネフィットも減らすことになるか?
8. 現金の利用が減れば、その代わりに広く使える中央銀行債務を発行することは重要か?
9. 中央銀行デジタル通貨がなかったとしても、国内および国際的なデジタル決済は発展するか?
10.他の経済大国が中央銀行デジタル通貨を発行する決定を、米国は考慮すべきか?
11. この報告書でカバーされていない中央銀行デジタル通貨に伴うリスクを制御する方法はあるか?
12. 中央銀行デジタル通貨は、完全な匿名性を与えずに消費者のプライバシーを確保できるか?
13. 中央銀行デジタル通貨はどのようにオペレーションの頑健性を確保し、サイバーリスクに対処できるか?
14. 中央銀行デジタル通貨は法貨(legal tender)となるべきか?
15. 中央銀行デジタル通貨には付利されるべきか?
16. 中央銀行デジタル通貨の保有額に制限を設けるべきか?
17. 中央銀行デジタル通貨の仲介機関にはどのような主体がなるべきか? また、これらの主体はどのような役割を果たし、どのような規制下におかれるべきか?
18. 中央銀行デジタル通貨は「オフライン」でも使えるべきか?
19. 中央銀行デジタル通貨は売買場所での利便性や受容性を最大化するように設計されるべきか?
20. 中央銀行デジタル通貨を複数の支払決済プラットフォーム間で利用可能とするにはどうすればよいか?
21. 未来の技術革新は中央銀行デジタル通貨のデザインに影響を及ぼし得るか?
22.中央銀行デジタル通貨を設計する上で他に考慮すべき原則はあるか?
何と言っても米ドルは世界の圧倒的な基軸通貨ですし、デジタル通貨を巡るアメリカの議論は、世界の議論にも大きな影響を与え得るものです。これら22の質問に、米国内からどのような意見が寄せられるのかが注目されます。
◎山岡 浩巳(やまおか・ひろみ)
フューチャー株式会社取締役/フューチャー経済・金融研究所長
1986年東京大学法学部卒。1990年カリフォルニア大学バークレー校法律学大学院卒(LL.M)。米国ニューヨーク州弁護士。
国際通貨基金日本理事代理(2007年)、バーゼル銀行監督委員会委員(2012年)、日本銀行金融市場局長(2013年)、同・決済機構局長(2015年)などを経て現職。この間、国際決済銀行・市場委員会委員、同・決済市場インフラ委員会委員、東京都・国際金融都市東京のあり方懇談会委員、同「Society5.0」社会実装モデルのあり方検討会委員などを歴任。主要著書は「国際金融都市・東京」(小池百合子氏らと共著)、「情報技術革新・データ革命と中央銀行デジタル通貨」(柳川範之氏と共著)、「金融の未来」、「デジタル化する世界と金融」(中曽宏氏らと共著)など。
◎本稿は、「ヒューモニー」ウェブサイトに掲載された記事を転載したものです。