レモンド商務長官は記者団に対し、「私たちは困難から脱する段階にも近づいておらず、生産量を増やすことができるまで、この状態が続くことになる」と述べた。

 米商務省は21年9月から、半導体の需給状況を把握するために世界の主要企業に詳細なデータを求めてきた。対象となったのは、供給側の素材、機器、半導体メーカーのほか、需要家側の自動車、工業製品、医療機器メーカーなど多岐にわたる。

背景に法案審議の行き詰まり

 米議会上院は21年6月、米国の製造業と技術に約2500億ドル(約28兆5100億円)を投じて競争力強化を図る「米国イノベーション・競争法案」を可決した。バイデン米大統領はかねて、国内の半導体生産増強に520億ドル(約5兆9300億円)を投じると述べていたが、同法案はこの政策を盛り込んでいる。

 一方で下院でも同様の法案が通過した。だが、下院の法案は半導体産業への補助金を含まない。上院と下院の法案には隔たりがあるため、両院で意見調整して内容を一本化する必要が生じている。しかし、ウォール・ストリート・ジャーナルの別の記事によると、下院では審議が行き詰まる状態が続いている。

 民主党議員の多くが、経済格差や気候変動への対策など、より広範な社会的目標に対処する法案を望んでいる。これが、下院で審議が行き詰まっている一因だという。

 米商務省の報告書はこうしたタイミングで公表された。レモンド商務長官は、「半導体の需要が急増する中、既存の製造施設はすでに最大限に活用されている。この危機を長期的に解決する唯一の方策は、国内半導体製造体制を再構築することだ」と訴えた。

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