「あの人がそう言うなら」
「誰が言っているかではない、何を言っているかが重要だ」といわれることがある。発言者が誰かによる先入観などのバイアスに気を付けろという戒めのメッセージだと思うが、そういわれているということは「何を言っているかよりも、誰が言っているか」を気にしてしまうのが普通だということなのだろう。
多くの場合、まず「誰が言っているか」を気にして、「あの人が言っているなら、きっとそうに違いない」「あの人の提案なら、聞いてみる価値はありそうだ」という判断を直感的にしているはずである。
だとすると、イノベーションを推進しようとする人は、仲間を増やすためにまずは話を聞いてもらえないことには始まらない。影響力を発揮するためにも、まずは最低限の「信頼」を得ておかないことにはどうにもならないということである。
影響力を発揮するための一つの条件は「信頼されている」ことだが、それ以外にも幾つかの側面である程度の必要条件があるように思う。
まず基本的な信頼を得ておかないことには、提案内容がどんなに素晴らしくても話を聞いてさえもらえない。まずは、基本レベルで人として信頼されていることが、影響力の発揮の前提条件である。
加えて、「好意をもたれている」「本業の実力・実績がある」「見識・知見・情報がある」「周りと良好な関係を築いている」といった要素もある(これらについては、次回以降のコラムで触れる)
よく「何をやるにしても、結局、最後は人だ」と言われる。人物が大事という普遍的なメッセージだが、ことイノベーションに限って言えば「結局、最初から人だ」というのが的確だと私は思う。反対・懸念が渦巻く中で、影響力を発揮できる人はどういう人なのか、次回も引き続き、イノベーションの人間的側面について考えてみたい。
コンサルタント 塚松一也 (つかまつ かずや)
R&Dコンサルティング事業本部
シニア・コンサルタント
全日本能率連盟認定マスター・マネジメント・コンサルタント
イノベーションの支援、ナレッジマネジメント、プロジェクトマネジメントなどの改善を支援。変えることに本気なクライアントのセコンドとしてじっくりと変革を促すコンサルティングスタイル。
ていねいな説明、わかりやすい資料をこころがけている。
幅広い業界での支援実績多数。