真に快適な職場風土の実現へ
「組織と制度・ワークプレイスを整えよ」を旗印に社内改革を行ってきた同社であるが、次に新たな課題が見えてきたという。従業員の不安や孤独、そしてミスコミュニケーションからくるメンタルへの影響だ。「そこで、 攻めの人事総務戦略としてフォーカスした合言葉が『離れて薄くなるならつながりを太くせよ』でした」と木村氏は語る。
「もともと当社は年3回、MBO(目標管理制度)の中で従業員に対し、期初、中間、期末に面談を行ってきました。しかし、これはあくまで業績の管理、言い換えれば『コトの管理』です。そこで今年1月からこれに加え、仕事のみならずプライベートも含めた内容の面談を行う1 on 1ミーティングをスタートしています。コトの管理に対して『ヒトの管理』を行う取り組みです。従来型の『管理』というより、コミュニケーションによる『つながり強化』の意味合いが強いです」
また、変革したワークプレイスにおいても「つながりを太く」するための仕掛けを施した。具体的には、通常業務、少人数の打ち合わせ、個人での集中業務、大勢でのワイガヤなど、ニーズに応じた場所の提供によるコミュニケーション促進の仕掛けだ。木村氏は、「ファシリティーレイアウトの工夫は、個人あるいはチームの生産性向上に寄与できる」と強調し、今後もオフィスがそうした役割を果たしていくと続けた。
さらには、従業員が身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることを意味する概念「ウェルビーイング」にも注力している。同社においては、WELL認証取得そのものを目指すのではなく、中身と趣旨を理解し、自社で対応すべき項目の選定と優先順位付けを行うことを大切にしている(WELL認証=環境・エネルギー性能と利用者の健康や快適性を評価する認証制度)。同社は空気質改善に着目し、自社製品である大空間向け業務用加湿空気清浄機「ピュアウォッシャー」計200台をグループ内の各拠点へ配備、オフィス室内の空気質改善に取り組んだ。
「人と人とのつながり+ウェルビーイングの合わせ技で、心にゆとりをもたらす快適空間を創造し、真に快適な職場風土をつくるのが、人事総務部門の責務です。努力の積み重ねで、単に出勤して働くだけのオフィスからイノベーションが生まれるオフィスへの変革を実現させたい」