アップルカー巡る様々な報道、「計画は存在する」

 アップルは厳格な秘密主義で知られ、製品計画の報道に関してコメントしない企業だ。今回のブルームバーグの報道についても、広報担当者はコメントを控えている。ただ、ティム・クックCEO(最高経営責任者)が同社のEV、いわゆる「アップルカー」を示唆したと報じられたり、韓国・現代自動車との交渉が報じられたりし、「計画は存在する」と受け止められている。

 米CNBCや米ウォール・ストリート・ジャーナルは21年2月、現代自動車の系列自動車メーカー韓国・起亜に生産委託する交渉がまとまりつつあると報じた。起亜が米ジョージア州に持つ完成車工場で24年にも生産を始め、初年で最大10万台を生産する可能性があると、関係者は話した。

 21年4月には韓国の英字紙コリア・タイムズが、アップルと韓国LG電子関連会社によるEVの生産委託交渉が合意間近だと報じた。またロイターは21年6月にアップルが中国の電池メーカー大手、寧徳時代新能源科技(CATL)や比亜迪(BYD)とEV用車載電池の調達に向けて初期段階の協議を進めていると報じた

紆余曲折の「タイタン・プロジェクト」

 アップルは14年に「タイタン・プロジェクト」と呼ばれる自動運転開発の取り組みを開始したとされる。同プロジェクトは一時、膨大な数の人員と費用を投じて技術開発に取り組んでいたものの、その後曲折があったとも言われている。

 アップルは18年に同社の元ハードウェア技術者で、米EVメーカーのテスラに移籍していたダグ・フィールド氏を呼び戻し、タイタン・プロジェクトの責任者に任命した。今回のブルームバーグの報道によると、フィールド氏は21年9月にアップルを去り、米フォード・モーターに移籍した。これに伴い、前述したApple Watchのソフトウエア担当幹部がフィールド氏の後任に就いた。

 同社は最近多方面から技術者を雇っているという。テスラやスウェーデンのボルボ・カーズ、独ダイムラーのダイムラー・トラック、米ゼネラル・モーターズ(GM)傘下の自動運転技術会社クルーズなどから、自動運転ソフトウエアや自動車ハードウエア、バッテリー、センサー、自動運転安全システムなどの技術者を引き抜いているとブルームバーグは報じている。

 (参考・関連記事)「Appleカー、車載電池調達で中国2社と交渉中 | JDIR