内部告発者が痛烈批判、メタは真っ向反論

 メタの事業慣行を巡っては、「利用者への悪影響を認識しながら安全対策を取らず、自社の利益を優先した」とし、立法府や規制当局などが監視を強めている。

 最近では、元社員のフランシス・ホーゲン氏が退職前に集めた内部文書を米議会や米証券取引委員会(SEC)、米メディアに暴露。「アルゴリズムを変更しオンライン上の意見対立を助長させたほか、ワクチン忌避を解消させる措置も講じず、インスタグラムが10代の女性のメンタルヘルスに悪影響を及ぼすことを認識していた」などと告発した。これを受け、米議会上院の商業科学運輸委員会が21年10月5日にホーゲン氏を呼んで公聴会を開いた。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、米首都ワシントンのラシーン司法長官は21年10月20日、個人情報の流出を巡り18年12月にメタを相手取って提起した訴訟に関し、マーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)を被告に加える申し立てを行ったと明らかにした。

 メタはホーゲン氏の主張に真っ向から反論している。同社コンテンツポリシー担当モニカ・ビカート副社長は11月7日の声明で、「当社が利用者の安全よりも利益を優先しているとの主張は誤った前提に基づいている。もちろん我々は民間企業であり利潤を追求する。だが人々の安全や健康を犠牲にして利益を出しているとの考えは、我々の商業的利益がどこにあるかという事実を誤って解釈している。我々には常に有害コンテンツを削除する商業的動機がある」(同氏)

Facebook問題、欧州に波及へ

 こうして米国で物議を醸す中、問題が欧州に波及しEU(欧州連合)でより厳しい規制を目指す動きが加速している。欧州委員会は20年12月、米テクノロジー大手を念頭に置いた規制法案を公表した。20年前に制定された現行法の大幅改正を目指している。その1つである「デジタルサービス法(DSA)」では、SNS(交流サイト)大手に投稿コンテンツに対するより重い責任を負わせ、監視やリスク軽減などの措置を義務付けることを狙っている。

 元社員のホーゲン氏は21年10月に米議会の公聴会で証言した後、欧州に飛んで英国やドイツの議員らと会談した。11月8日には欧州議会の公聴会でも証言している。

 (参考・関連記事)「フェイスブック内部文書、欧州で規制強化の動き加速 | JDIR