さらに、デジタル化と並行して、世界的に格差問題への関心が高まっていることも挙げられます。この中で、AIが相対的に貧しい人々の職を奪ったり、AIが限られた人々によって使われ、この人々に一段と冨を集中させないかといった懸念も生じています。いわゆる「ベーシックインカム」の議論も、このような懸念に根差しています。
加えて、戦場でAIを搭載したドローンが実際に兵器として使われたというニュースも、AIが軍事目的に使われることへの警戒感を高めることになりました。
「AI規制」への関心の高まり
AIを巡る各国当局の関心も高まっています。
欧州委員会は本年4月21日に、AIの規制法案を公表しました。これは、AIをその利用のリスクに応じて分類し、リスクが高いAIほど実用に際し厳格な手続きを設けた上で、きわめてリスクの高いAIの使い方については禁止することを企図したものです。また報道によれば、中国は現在、アルゴリズムの特定の目的への利用を制限する規制を検討中とされています。
欧州委員会の取り組みは、AIがもたらす便益を享受しつつ、その害をなるべく小さくすることを目指しているわけですが、この規制自体、そもそも容易ではありません。さらに最近では、そもそも人間より賢いAIを作り出せないようにすべきではないか、といった主張すら聞かれます。