最適配置からチームバランスの設計まで
アッテルのサービスを使う目的としては、採用の基準に使う場合と、異動対象者をどこに異動させると一番活躍する確率が高まるかという最適配置の設計、また、上司との相性を定量化してミスマッチを防ぐような使い方、日々のマネジメントの主に4つ使い方で利用されている。
例えば、上司と部下の相性は活躍しやすさに影響があることはデータとしても分かっている。下の図は、ある会社のもので横軸に上司と部下の類似度(どれくらい価値観が似ているか)、縦軸に部下の評価の平均を示したものだ。右側の若手の場合は上司と似ている方が評価が高まりやすい一方、上司との価値観が一定以上離れてしまうとガクッと評価が落ちるという結果が出ている。中堅以上の場合は、むしろ上司と似過ぎていても駄目で、実はちょっとずれているくらいのところが一番パフォーマンスが上がる。
こうしたデータを使って、上司と部下の最適な組み合わせを作ることもできる。これを拡張していくと、チームのバランスをデータで可視化することも可能だ。
また、次の図は属性(部署・職種)ごとに活躍・定着人材を分析したものだが、自我/共感の軸で見ると、営業系では自我が強い方が活躍しやすく、共感が強い人は活躍しにくいことが分かる。
最適配置では、例えば、下の図のように、新卒をどの部署に配置すると全社的な貢献度合いが高くなるか、それぞれの部署でのハイパフォーマーとどれくらい似ているのかという分析をして活躍確率のようなものを算出するという形で考えることも可能になる。
塚本 これまでは、まさに感覚で「この人はここがいいんじゃない」と、そういう感じで決めていたところを、「この人がここにいくと活躍確率が何%くらいある」というところから配置の案を作っていくということになります。もちろん、本人の希望やスキルの関係もありますので、そういう点は調整いただいています。ただ、やはり、それをデータをもとに話せるというところが大きい。これまではほとんどそうしたソリューションがなかったので、クライアントの企業の方には非常に喜んでいただいている感じかなと思います。
日本の大手企業の場合、新卒で採った社員を何年かごとに部署異動させて、最終的にジェネラリスト育成を目指すという流れがある。塚本氏によると、こうしたローテーションはやはり一定で発生しているものの、その最初のローテーションまで待たずに辞めてしまう社員がいると相談を受けることがあるという。ローテーション前提で最初の配属を比較的ざっくりしておいて、うまくいかなくても最悪3年目のローテーションで動かせばいいという発想ではもはや太刀打ちできない事態になっているのだ。
塚本 最初のところでなるべくミスマッチを減らした配属にしてあげたい。人によって強み・弱みは全然違うので、まずは活躍させてあげたい。例えば、100人を採用したときに、100人全員が金太郎飴ではなく、それぞれに個々の資質に合った育成をしていった方が会社としてもいいパフォーマンスが出せるというイメージになってきているのだと思います。
一方で、弊社がデータを取っていると、実はローテーションで動かした方がパフォーマンスが上がりやすい人、動かさない方がパフォーマンスが上がりやすい人がいることが分かってきています。経営人材としてはやはりローテーションしていた方が出現率が高かったりするので、そういう場合は当然ローテーションをした方がいい。あるいはスペシャリスト人材みたいな、1つの専門性を高める人材であれば、むしろローテーションがキャリア上、マイナスになってしまうこともある。
弊社としては、一律にローテーションするのではなく、その人の活躍確率が一番高まるためにローテーションを使っていきましょうという提案をしています。
もちろん、使用目的はその会社ごとに多少違ってくるが、キャリアデザインをサポートするといった使い方も可能になってくるということだ。
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