最近では、元社員が退職前に集めた内部文書を米メディアに暴露。「アルゴリズムを変更しオンライン上の意見対立を助長させたほか、ワクチン忌避を解消させる措置も講じず、インスタグラムが10代の女性のメンタルヘルスに悪影響を及ぼすことを認識していた」などと告発した。これを受け、米議会上院の商業科学運輸委員会は21年10月5日にこの元社員を呼んで公聴会を開いた。

 英国の競争当局である競争・市場庁(CMA)は21年10月20日、フェイスブックが20年に実施した画像サービス企業の買収を巡り、情報提供の命令に意図的に従わなかったとし、計5050万ポンド(約80億円)の制裁金を科すと発表した

 米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、米首都ワシントンのラシーン司法長官は10月20日、個人情報の流出を巡り18年12月にフェイスブックを相手取って提起した訴訟に関し、ザッカーバーグCEOを被告に加える申し立てを行ったと明らかにした。

マイナスイメージ払拭

 フェイスブックのブランドイメージは悪化の一途をたどっているという。ブランド管理コンサルティング会社の米プロフェットによると、同社はこの数年間、米消費者のブランドイメージ年間ランキングで順位が急降下している。こうした中、組織再編によってマイナスイメージが、ワッツアップなどの傘下事業に及ぶのを防ぐことも可能だとみる専門家もいる。

 ネガティブイメージを払拭するために組織再編を行った企業も少なくない。例えば、米クラフトフーズを傘下に持っていた米たばこ大手のフィリップ・モリスは2003年にアルトリア・グループへ社名変更した。このブランド変更はアルトリアからたばこの否定的なイメージを取り除くことはできなかったが、クラフトフーズへの影響を抑えることはできたと専門家は指摘している。

 一方で、フェイスブックに対する外部からの圧力は社名変更後も変わらないとみる専門家もいる。広告・コミュニケーションデザイン会社、英ペンタグラムのナターシャ・ジェン氏は、「(フェイスブックに対する)当局の監視や人々の懐疑心が社名変更で弱まることはないだろう。信頼は獲得するものだ」と指摘している。

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