販売店に入荷遅れ、納期は1カ月先
こうした問題は、すでに新型iPhoneの出荷体制に影響を及ぼしている。アップルの直販サイトでは、上位モデルの「iPhone 13 Pro」と「同13 Pro Max」の配送日が1カ月先という状況。直営店「Apple Store」での受け取りもできない状態。iPhoneを扱う通信事業者の店舗でも入荷遅れが生じているという。
こうした入荷遅れの問題は10~12月期の売上高に影響を及ぼす可能性があると指摘されている。昨年10~12月期におけるアップルの売上高は1114億3900万ドル(約12兆6400億円)で、四半期として初めて1000億ドルの大台を突破した。21年10~12月期は、前年同期比約7%増の1200億ドル(約13兆6100億円)になるとみられている。この金額は10年前における1年分の売上高を上回る。
香港のカウンターポイント・リサーチはiPhone 13の販売が好調で、昨年のiPhone 12を上回っていると分析している。だがアップルのティム・クックCEO(最高経営責任者)は先の投資家向け説明会で、「これまでパソコン『Mac』とタブレット端末『iPad』に影響が及んでいた電子部品供給問題が主力iPhoneにも波及し、販売が制約される」との見通しを示していた。
半導体リードタイム延長、中国で深刻な電力不足
米サスケハナ・ファイナンシャル・グループによると、半導体の、発注から納品までの供給リードタイムは9カ月連続して延びている。健全とされるリードタイムは12~14週間。だが21年6月は19週間で、サプライチェーンの危険水域とみなされる16週間よりも長かった。これが21年9月には21.7週間となったという。
こうした遅延に加え、スマホの主要製造拠点である中国で電力不足問題が長期化している。アップルのサプライヤーで電子機器画面のタッチパネル部品を手掛ける台湾の宸鴻光電科技(TPK)は政府による電力制限を受け、中国南東部・福建省にある工場の生産計画を見直した。iPhoneの組み立てを手がける台湾・和碩聯合科技(ペガトロン)も中国工場で規制を順守。電力使用を制限している。
(参考・関連記事)「iPhone 13に異例の出荷遅延 過去最長水準 | JDIR」