人的能力が付加価値の源泉に。今起きているパラダイムシフトとは

 4、5番目、表裏の関係にあるというオペレーションとテクノロジーについては「データ、ソフトウエア、プラットフォームなどをうまく使って、人間の能力を向上させることが大事」と岩渕氏。

「単なるオペレーションのアウトソーシングや自動化は、売り上げや利益を数%上げることはできても、大きな成長のエンジンにはなりません。単純な効率化から、データを起点として人的能力を付加価値の源泉とするという、大きなパラダイムシフトが起きています」(岩渕氏)

 また、テクノロジー面では、システム構造はなるべく簡単にして、AWSなどの使い勝手のよい機能を組み合わせるのが望ましいという。

「われわれは『プラグ&プレイ』と呼んでいますが、これはブロックのようにモジュールを組み合わせて、シンプルで使い回し可能なアーキテクチャを意味します。ただ、データだけは自分たちで持つべきですから、しっかり管理することが大切です」(岩渕氏)

 最後に、6番目の人材と7番目の価値/カルチャーについて、高部氏は「DXは社会や企業における機械と人の役割を変え、人材に対する考え方も変える」と語る。

「今後は人が目標や価値観を決定し、機械やツールが日々の事業の実行、実現を支援するようになります。AIは日次どころかミリ秒単位で情報を処理して、答えを出すことができます。そうした部分はAIに任せて、人は機械やツールを使って何ができるかを考えつつ、企業間の連携のような組織を超えた価値観、10年先の価値観といったところを考える。このように人とAIの役割分担が進むでしょう」(高部氏)

 そのために、企業はこうした役割を担える人財を広く作っていくこと、具体的には、デジタルによる効率化から生まれるリソースを、再教育、再配置しながら実現していくことが求められます。

 また、こうした人材を活用するカルチャーをつくるために、規律とモチベーションという2軸で考えながら、自社の既存の強みとは異なる価値観を取り入れ、新しい価値観、カルチャーを目指す必要もある。

「戦略、ガバナンス、組織、オペレーション、テクノロジー、人材、価値/カルチャー。これらのうち、どれか1つに注力すれば変革できるということではありません。うまくバランスを取りながら推進していくことが真の成功の鍵になります」(高部氏)

 スピードを意識しながらバランスを保つことは容易ではないが、7つの鍵は相関している。変革が進めばそれぞれの効能からプラスの循環が生まれ、サステナブルなDXが実現できるはずだ。