DXの成熟度が高まり、全ての産業でビジネスモデルの変革が起きる時代に突入、業界に関わりなく競争関係になり得る中では、DXの継続が不可欠になっている。自らもDXに取り組み、多様な業界のデジタル関連のコンサルティングをしてきたボストン コンサルティング グループ(BCG)の岩渕匡敦氏と高部陽平氏は、DXの継続には、経営層のコミット、企業のパーパス(存在意義)の明確化が必須だとした上で、サステナブルなDXには7つの鍵があると話す。

※本コンテンツは、2021年9月13日に開催されたJBpress主催「第10回 DXフォーラム」の特別講演Ⅱ「デジタルトランスフォーメーションの次のステップにおける成功要因とは?」の内容を採録したものです。

DXを継続し、成功を収めるための7つの鍵

 現在、「ほぼ全ての産業において全社レベルでのDXが進み、サステナブルなビジネスモデルの構築を目指すというステージに入っています」と語るBCGの岩渕氏は、成功のためのポイントとして、構造改革が前提となることを挙げる。

「構造から変えていくには、企業のパーパス(存在意義)を明確にし、社員が自分事として捉えられるまでに至っていることが必要です。そのためには、CEOをはじめとしたリーダー自身がコミットすること。そして、社員を含めた周囲に語れるビジョンがあることです」(岩渕氏)

「業界の競争の垣根が取り払われていく中で、ビジネスモデルに対するDXは、継続することが大前提」と話すのはBCG高部氏。そのためには、7つの鍵があるという。

「1つ目は『戦略』です。策定から実行、フィードバックまでのサイクルを短くし、回しながら組み立てることです。2つ目は『ガバナンス』。意思決定と実行のスピードを上げるために、投資や人材リソースの割り当ての判断も迅速に行う必要があります。3つ目は『組織』。特に顧客の目線、従業員の目線、そして人材確保を意識した新しい組織の構築が必要です。

 4つ目、5つ目は裏表の関係にあり、データ起点に変わっていく『業務のオペレーション』と、それを支える『テクノロジー』です。6つ目は『人材』。どう確保し、育てていくかという議論が必要となっています。最後の7つ目は『価値/カルチャー』。新しい企業として提供する価値をどう定義し、新しい人材の在り方をつくっていくかです」(高部氏)