フェイスブックの渉外担当アンディ・ストーン氏はツイッターへの投稿で、「本人が宣誓で言ったように、ホーゲン氏は子供の安全やインスタグラム、一連の問題の調査に携わっておらず、フェイスブックでの仕事を通してこのトピックに関する直接的な知識を持っているわけではない。この事実を指摘しておく」と述べ、ホーゲン氏の主張に疑問を呈した。

ホーゲン氏、欧州委員らと会談

 一方、米議会を巻き込んだホーゲン氏とフェイスブックの対立は、欧州に飛び火しそうだと、ニューヨーク・タイムズの別の記事は報じている。

 ホーゲン氏は、米議会での証言の直後に欧州連合(EU)欧州委員会のティエリー・ブルトン委員(域内市場担当)と電話会談を行い、巨大プラットフォーマーによる独占の抑制について話し合ったという。ホーゲン氏は数週間前にクリステル・シャルデモーゼ欧州議員(デンマーク出身)と電話会談を行ったほか、欧州委のベラ・ヨウロバー副委員長ともテレビ会談を行った。

 数週間後にはEUの政策立案者と対面で会談し、SNS(交流サイト)規制案について協議する。英議会でも証言する予定。11月1日にポルトガルのリスボンで開幕する欧州最大級のテクノロジーカンファレンス「Web Summit(ウェブサミット)」で講演することも決まっているという。

「デジタルサービス法」と「デジタル市場法」

 欧州委員会は20年12月、米国のテクノロジー大手を念頭に置いたデジタル規制法案を公表した。「デジタルサービス法」と「デジタル市場法」の2つからなるもので、20年前に制定した現行法の大幅改正を狙っている。

 「デジタルサービス法」は、EU域内人口の約10%にあたる4500万人以上の利用者を抱えるオンラインプラットフォームを対象にする。違法なコンテンツや商品、サービスの迅速な削除などを義務付け、利用者ごとに異なるネット広告には、その表示基準の開示も求める。「デジタル市場法」は、自社製品・サービスの優遇などを禁じたり、企業を買収する際の事前通知を義務化したりと、巨大テックによる競争阻害行為の抑止を狙っている。

 前者のデジタルサービス法には、ホーゲン氏が今回米議会証言で求めたような「透明性の確保」が盛り込まれている。フェイスブックなどのテック大手に、サービスやアルゴリズム、コンテンツモデレーション(掲載内容のチェックと削除)などの手法に関する詳細の開示を義務付けるものだ。誤情報やヘイトスピーチの拡散に関するリスク評価を定期的に実施するよう求める可能性もある。

 ホーゲン氏の見解が根拠となり、これら欧州の新法が、フェイスブックなどにとってより厳しいものになる可能性があると専門家は指摘している。

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