「世界は今年、これまでほとんど知られていなかった部品がサプライチェーンに打撃を与えたことを目の当たりにした」と、ウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。半導体不足の影響で工場の操業停止を余儀なくされたグローバルメーカーは販売機会を逸したという。
「電子産業のコメ」、スマホに1000個超、EVに1万個超
同紙によると、MLCCを巡る状況は半導体のそれとは若干異なる。まず、MLCCには幅広い供給基板があるという。また、MLCCの需要は半導体の供給量に連動する。今の半導体品薄状態に伴い、MLCCの需要は抑制されているという。
ただ、これが不足すると、サプライチェーンは大混乱を引き起こす。MLCCは、1個の大きさが米粒よりも小さく、スマートフォン「iPhone」やゲーム機「プレイステーション」、最先端自動車に不可欠な部品。「電子産業のコメ」とも呼ばれている。
初期のスマートフォンに使われていたMLCCの数は数百個程度だった。現在の高速通信規格「5G」対応スマートフォンには1000個以上が使われているという。
自動車も同様にMLCCの搭載数が増えている。村田製作所によると、ADAS(先進運転支援システム)や自動運転など自動車の高機能化によって、1台当たりに搭載される半導体の数が増加している。これに伴いそれらを正しく作動させるためのMLCCも増えている。電装化が進むEVにはガソリン車の2倍以上に当たる1万個以上が搭載されているという。
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