米ウーバーテクノロジーズと米リフトは、いずれも2021年内の黒字化を目指しているが、その中核事業である配車(ライドシェア)サービスに再び暗雲が垂れ込めており、目標実現は困難な状況になってきたと、ロイターが8月2日に報じた。
ウーバーのライドシェアサービスを巡っては21年5月にドライバー不足が解消しつつあると報じられた。米国では5月半ばの週に3万3000人のドライバーがウーバーのライドシェア・プラットフォームに加わった。稼働時間はその前の週に比べ4.4%増加し、年初来最大の復帰率を達成した。
だが、ここに来て米疾病対策センター(CDC)が変異ウイルスの「デルタ株」について、感染力が「水ぼうそう」並みに強いとする調査報告書を公表した。CDCはワクチン接種を終えた人でも他者に感染を広げる恐れがあると指摘。マスク着用など注意を呼びかけている。
インセンティブ設けるもドライバー戻らず
ウーバーとリフトの中核ビジネスは、米国や欧州などの都市の経済活動と密接に関係する。リフトは新型コロナの脅威が収まったかに見えた21年4~6月期、「ワクチンの展開などで業界全体で需要が高まっている」と述べていた。
ウーバーはドライバーへの支払いなどを差し引く前の金額である取扱高(グロスブッキング)が過去最高を更新したと発表。「米国ではワクチン接種が進み、配車サービス需要がドライバーの数を上回っている」とし、インセンティブ(手当)制度などを設けドライバーの早期復帰を促した。
だが、2社の最大市場の1つである米ニューヨーク市では、ライドシェア車両が21年2月から2割増えたものの、ピーク時の19年3月に比べて3割少ない状態が続いている。
多くのドライバーは昨年、新型コロナへの懸念や顧客減少を理由にライドシェアから離れた。今も19年の水準には戻っていない。こうした中、デルタ株の流行で年内の黒字化が不透明な状況になってきたという。