アマゾンでは、人的パトロールと機械学習システムで不正レビューを削除している。同社によると、2020年には全体の約99%に当たる2億件以上の疑わしいレビューを掲載前に削除した。それらのアカウントが再び投稿できないようにする措置も講じ、関与した出品者アカウントを停止した。

 だがそれでも消費者を欺く書き込みは後を絶たない。アマゾンによると、同社の監視の目が届かないSNS上にレビューの書き込みを売り込んだり、投稿者を募ったりするグループが数多く存在するからだという。

 また、米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、好意的なレビューを書く見返りに、商品の代金を払い戻す手口もある。フェイスブック上に「アマゾンレビュー」といった名称のグループを作成し、書き手を募集しているという。

規制当局が調査に乗り出す

 偽レビューについては各国の規制当局や議員も問題視している。例えば英競争規制当局の競争・市場庁(CMA)は21年6月、アマゾンと米グーグルに対する正式調査を開始したと明らかにした

 これに先立つ21年5月、CMAはアマゾンとグーグルに対する予備調査を開始。2社の検知・削除措置、違反者に対する制裁措置が不十分だと疑っている。アマゾンのシステムについては、他の商品につけられた記述をそのまま書き込む行為に対処できていない可能性があるとみている。もし2社がこの問題を放置するなど、消費者保護法に違反していると判断した場合、法的措置を取る可能性もあるとしている。

 CMAはフェイスブックや傘下の写真共有アプリ「インスタグラム」ではびこるレビュー取引も問題視し、フェイスブックに懸念を通達。その後、フェイスブックはシステムを改良し、不正取引を自動で発見・削除する仕組みを導入した。CMAによると、同社は21年4月までに、偽レビューを売買していた1万6000団体を削除した。