事業モデル転換が急務、既存企業は今こそ顧客基点の全社DXを

「DX調査2020」で見えたDXの課題と克服の鍵(4)

電通デジタル/2021.6.14

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(安田 裕美子:電通デジタル ビジネストランスフォーメーション部門 部門長)

 ワクチン接種による明るい兆しは一部あるものの、コロナ禍が長引く中で、企業の業績にもその影響がはっきりと現れてきました。いまだ多くの企業が従来通りの業績を上げられていない中、アメリカのウォルマートはコロナ禍でも純利益を前年同月比56%伸長、特にオンライン販売を79%も伸ばす(注1)など、デジタル活用の巧拙がビジネスの業績を分ける大きな要因であることも明らかになったのではないでしょうか。

(注1)出典:Walmart Finacial Information Earnings Release(FY21 Q3)

 このような事実も影響してか、電通デジタルが昨年(2020年)12月に発表した「日本企業のデジタルトランスフォーメーション調査 2020年版」(以下「DX調査2020」)の結果を見てもコロナ禍においてDXを推進する約半数の企業が取り組みを加速させたと回答し、中でもビジネスモデル変革領域への注目が目立ちます。

DXの取り組み領域(対前年比増加トップ3)

 昨今「DX」がバズワード化していますが、企業にとってDXの最終的なゴールは「変化する顧客や環境に対応し、事業モデルを変革すること」「それにより、社会や顧客へ新たな価値を提供し、収益を創造すること」と考えます。これらは企業の究極的な目的とも言え、短期に成し遂げられるものではありません。しかし、この目的を経営層がしっかり認識し変革をリードしていくことが、DXを単なるITの導入や新事業の開発に終わらせずに企業成長へと導く要件であり、かつ多くの取り組み企業が今抱えている内部的課題であると認識しています。

 連載の最後となる本稿では、日本の既存企業(注2)がDXを基点とした事業モデル変革(=ビジネストランスフォーメーション)を目指していく際の課題や論点について、各種データや年間50件以上のDX案件にかかわる当社・電通デジタルの実践経験からお話しします。

(注2)本稿では、スタートアップを新興企業としたとき、従来から存在する比較的規模の大きな企業を「既存企業」と呼びます。

コロナ禍で大きく変化した、顧客の企業選択意識

 そもそも事業モデル変革とは大げさではないのか、なぜそこまでして変わらなければならないのか、とお考えの読者の方もいらっしゃるかもしれません。ここに、参考になるデータがあります。電通デジタルがコロナ禍に行った調査で「今後どんな企業や製品を選びたいですか」と生活者に聞いたところ、以下のような結果でした。

今後はどんな企業やサービスを選びたいか?
出典:電通デジタル調べ「アフターコロナライフスタイル調査」(2020年4月実施)
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