アップルはこのデジタルグッズ・サービスで、開発者やサービス運営企業から手数料を受け取っている。例えば、有料アプリやアプリ内課金の場合、アップルの取り分は販売額の30%、サブスクリプション(継続課金)サービスは、1年目が同30%で、2年目以降が15%。
App Storeを巡っては、配信や課金の仕組みが独占にあたるとして、人気ゲーム「フォートナイト」の開発元である米エピックゲームズが提訴した。こうした批判をかわす狙いかアップルは21年1月、App Storeで得た年間収益が計100万ドル(1億1000万円)以下の企業を対象に手数料を15%に引き下げた。
ただ、デジタルグッズ・サービスの860億ドルには、一部の動画配信サービスのように、アップルの課金システムを介さずに取引された金額も含まれている。
アップルは昨年のレポートで、「アップルから開発者に直接支払われた金額は、アプリを通じて販売された商品やサービスの売上高などを含んだ膨大な金額から見れば、ほんの一部にすぎない」と説明。App Storeがもたらす経済効果は、同社と開発者間の取引金額よりもはるかに大きいと強調した。
「9割がApp Storeを介さず」と主張
3番目に規模が大きいカテゴリーは「アプリ内広告」で、20年の金額は前年比4%増の460億ドル(約5兆400億円)だった。こちらはゲーム内広告が190億ドルで、このカテゴリーの41%を占めている。それ以外は、フェイスブックやインスタグラム、ツイッター、ユーチューブ、ピンタレスト、ティックトックのように広告によって収益を得ているアプリだ。
App Store経済圏の総販売額6430億ドルのうち、App Storeの外で行われた取引は90%(金額ベース)。これらについてアップルは一切手数料を受け取っていないとしている。前述したとおり、同社はデジタルグッズ・サービスの有料アプリ開発者から手数料を得ている。2008年にApp Storeを立ち上げて以来一貫して、物理的な商品・サービスやアプリ内広告から手数料を徴収しない方針だとしている。
(参考・関連記事)「アップルCEO、アプリ配信訴訟で厳しい質問浴びる」