2020年1月31日に開催されたFintech協会のファクタリング勉強会の様子

 企業の資金調達における新たな手段「ファクタリング」が注目を集めている。ファクタリングは、「入金待ちの請求書」(売掛金)をファクタリングサービス会社に売ることで、入金前に資金を調達する仕組みだ。

 とくにオンラインで提供するファクタリングサービスは、手間が少なく、審査期間が短いことなどから、中小企業や個人事業者などの利用が急増している。

 こうした動きを受けてFintech協会は2020年10月に、「オンライン型ファクタリング分科会」を立ち上げた。オンライン型ファクタリングが注目を集める背景、現状の課題と今後の展望について、同分科会の中心メンバーである武田修一氏、家田明氏、神田潤一氏の3人に聞いた。(文中敬称略)

――オンライン型ファクタリングとはどういうものでしょうか。

武田 融資とファクタリングは、企業に運転資金を供給するという点では、どちらも変わりませんが、売掛金の入金がなかった場合に大きな違いがあります。

 融資の場合、仮に売掛先から期日通りの入金がなくても、企業は借受金を返済する必要があります。

 対するファクタリングは、売掛金という債権の売却です。ファクタリングサービス事業者は売掛金の不払いリスクを含めて債権を買い取ります。したがって、売掛金が期日までに入金されなかったとしても、サービス利用企業には返済や弁済の必要が生じません。

年初の勉強会からスタート

武田 オンライン型ファクタリングは、海外では「インボイスファイナンス」と呼ばれています。2012年ごろにサービスが登場し、すでにフィンテックのひとつのジャンルとして確立しています。日本でオンライン型ファクタリングサービスを提供する事業者が出始めたのは、2017年あたりからです。

 Fintech協会にもこのサービスを手掛ける会員が多く、普及が見込まれることから、2020年1月にオンライン型ファクタリングに関する勉強会を開きました。これが分科会の立ち上げにつながっています。

武田修一氏。Fintech協会オンライン型ファクタリング分科会事務局長、OLTA副社長(オンライン会議画面より、以下同)

 2020年9月末にオンラインで開催した1回目の分科会では、ファクタリングサービスの法的な解釈の解説を行いました。銀行における銀行法に相当するような「業法」がファクタリングにはありません。そうしたなかで現行法に照らして、ファクタリングはどう位置づけられるのかなどを整理して紹介しました。

 それに加え、オンライン型ファクタリングへの期待の高まりやコロナ禍における利用企業の反響、ファクタリングサービス事業者との提携を通して拡大する市場の広がりなどを紹介しました。