〔ジレンマ 2〕労働時間重視 vs 働き方改革の施策

 働き方改革の施策では「残業規制・総労働時間の削減」「各種休暇制度の拡充と推進」「会議・資料削減などの業務改革」や昨今のコロナ禍における「テレワークの推進」などに取り組むことが多い。

 そのため、多くの企業では「残業時間」「休暇取得率」「出社は週○日以内」などの労働時間を中心とした量的な目標になりがちだが、これが労働時間重視のジレンマを生んでいる。

■労働時間の削減

 労働時間だけ削減していくと、どうしても目の前の仕事を優先してしまうのが人間の性だ。そのため「中長期的な問題に取り組む時間がなくなった」「OJTなど育成の時間がなくなった」「お客さまへのサービスの質が下がった」などの声が多く聞かれる。

 労働時間の削減は、当面は良いことかもしれないが、一方で、中長期的には企業体力を奪い、一人一人の成長も鈍化させてしまう危険性も秘めている。

■休暇取得目標の設定

 連続休暇取得などが目標になっている企業もあり、そのような会社では半強制的に土日など含めて10連休などを取得させられることもある。

 これは一見すると良い施策に思えるが、不満が多いのも事実だ。例えば、「頻繁に病院に行くので、半休を頻度高く取りたい」や「毎日1時間くらい遅く出社して、朝に英語のオンライン講座を受講したい」という社員もいたりする。

 人によってライフスタイルも多様であり、取得したい休暇の形態もさまざまだ。会社が一律的な目標を設定することで、かえってモチベーションが下がってしまう典型的な例といえるだろう。