一方、日本など先進国は人口が減少し、高齢化が加速する。労働者不足や高齢化負担増加、国内需要の減退などがこの先にはある。
さらに情報革命のまっただ中において、DX(デジタルトランスフォーメーション)の波はあらゆる産業を大きく変えようとしている。アマゾンやアリババに代表されるネット販売が世界中の小売業のみならず消費財メーカーをものみ込もうとしている。
また、AI(人工知能)、IoT(Internet of Things)、ブロックチェーン技術などにより、労働集約型の産業はデジタル集約型へ姿を変えていく。
現場力の優位性で競争力を保ってきた自動車や電機産業も、現場人の改善力や匠の世界からデジタル技術を駆使した自動化・標準化の世界へ競争の主戦場がシフトしつつある。トヨタ自動車の豊田章男社長が「今やトヨタのライバルはグーグル」と発言するなど、業種のくくりがなくなり、異業種格闘技が展開されている。
こうしたマクロトレンドの動向はわずか10年先の事業に多大な影響を及ぼす。同時に逆方向の規制や税制措置なども取られ、これらも企業業績に影響を及ぼすことを忘れてはならない。例えば、気候変動緩和のための炭素税の導入によるコストアップなどである。
一方、投資家はこうしたマクロトレンドに対して企業価値向上にどのように取り組んでいるかという視点で企業を評価しようとしている。急激に増加しているESG投資とはこのような非財務情報を重視した投資のことである。
このようなVUCA時代にあっては、何もせずに待っていることは衰退を意味する。何が起きようと「想定外」などという言い訳はできない。革新なくしては生き残れないのである。