完全デジタル開催「CES2021」の画期性と残念な点

オンラインイベント成功の鍵は「バーチャル密」をどうつくるか

朝岡 崇史/2020.9.15

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 一方、IFA 2020だが、新型コロナ感染症対策のため、今年は8日間の会期を3日間に短縮すると同時にフィジカルイベントの参加者の人数を1日あたり1000人以下に厳しく制限、実質、一部プレスと招待者のみの開催とした。

 加えて、規模を縮小して設営されたリアルのステージや企業の展示ブース以外にもフィジカルイベントに参加できない参加希望者のために、オンライン上に展示スペースを設け、バーチャルでの参加機会を提供したことは、IFAの主催者であるメッセ・ベルリンがコロナ禍時代のイベント開催のあり方を世界に先駆けて示したという意味で注目に値するだろう。

 IFA 2020はオンラインの参加であれば、主催者のウェブ上で簡単な登録を行うだけで、日本からでも参加登録料0ユーロ(無料)で参加できた。ただ残念なことに会期初日の9月4日は動作が遅く辛うじて動く程度。しかも翌日の9月5日にはアクセス集中によりサーバーエラー(500 Internal Server Error)が出て体験自体が不可能になってしまっていた。9月6日の早朝(日本時間)は快適に動作していたので、オンライン開催の場合はフィジカルイベント以上に空いている時間帯を狙う(こと展示に関しては)ことが必要かもしれない。

 もっとも主催者側もオンライン展示が多くの来場者にフラストレーションを与えてしまうことは十分予見していたようだ。9月3日にIFA 2020のオープニングカンファレンスに登壇したIFAのエグゼクティブ・ディレクターのイアンズ・ハイテッカー氏は「(オンラインイベントには)IFAベルリンのようなイベントを非常に有用なものとしている即時性のある体験や、人と人とのつながりという面が欠けている。だからこそIFA 2020を(規模を縮小しても)フィジカルなイベントとして開催することにこだわってきた」と述べている。

IFA 2020のオンライン展示で最も気合が入っていたLG。多くの企業が企業ホームページ程度の情報量だったのに対し、LGはフィジカルイベントの企業展示ブースをCGで再現し(エントランスはおなじみのOLEDによる巨大ビデオウォールだ)、商品部分のアイコンをクリックすると動画によるプレゼンテーションが見られるようにしていた(IFA 2020のオンライン展示サイトより)

「バーチャル密」を生み出す取り組みに期待

 話を来年のCESに戻そう。CESの上級者は行く場所、見るべきポイントが決まっている。とはいえ、オンラインの基調講演や展示では、情報の「収集」はできても「確認」は即座にはできない。それで大丈夫か、見落としはないか、自分の解釈や見立ては正しいのか、という不安は常に残るだろう。

 IFA 2020のLGの取り組みをオンライン展示のベンチマークとするなら、CES 2021では最低でも出展企業の担当者とチャットでQ&Aのやりとりを可能にする仕掛けが必要だ。