IoTセンサーで大きな牡蠣を効率よく育てる

水産ベンチャーがKDDIなどと徳島県で実証事業を開始

栗原 雅/2020.5.1

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*写真はイメージ(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

 徳島県の水産ベンチャーであるリブル(https://reblue-k.com/)が、IoT(モノのインターネット)を駆使した牡蠣の養殖にのりだした。勘と経験に依存しがちだった牡蠣の養殖事業を変革し、安定した収量の確保や事業の拡大を図ることで、地域産業の発展につなげる考え。

 リブルが牡蠣の養殖を行うのは徳島県海陽町の那佐湾で、事業は海陽町、宍喰(ししくい)漁業協同組合、徳島大学、KDDIの4者と共同で2020年3月に開始した。

 宍喰漁協が養殖場を提供し、リブルが養殖場での環境データ収集などを手掛ける。KDDIはIoTセンサーや各種データを蓄えるクラウドサーバーに加え、生育状況などのデータを記録する養殖管理ツールを用意。徳島大学はセンサー開発のほか、クラウドに収集したデータの分析を担う。

 リブルはデジタルテクノロジーを積極的に活用することで、養殖にかかる作業時間を年間188時間削減することを目指す。あわせて、2024年をめどに牡蠣の出荷量を現在の5倍に相当する30万個にまで増やす目標を掲げている。

勘と経験が必要な牡蠣養殖

 海陽町の那佐湾における牡蠣養殖は、海中に浮かべたカゴの中で1個ずつバラバラに牡蠣を育てる「シングルシード」と呼ぶ生産方式を採用している(写真1)。海陽町のように牡蠣の養分になるプランクトンなどが少ない環境でも、シングルシードであれば養分を効率よく収集し、「身入り」(殻いっぱいに身が育っていること)が良く高品質の牡蠣を育てられるからだ。だが、長い針金に複数の牡蠣を通して海中に吊り下げる一般的な方式と異なり、管理に手間がかかるという。

写真1:シングルシード方式による牡蠣養殖のイメージ(左)と、国内で一般的なイカダ垂下方式のイメージ(右)(KDDIのプレスリリースより、以下同じ)