バッテリーも電源配線も不要の漏水センサーが製品化

センサーが発電した微弱電力を蓄電・昇圧するエイブリックの技術

栗原 雅/2019.11.18

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エイブリックの武内勇介CEOオフィス ビジネス・ディベロップメントユニット ジェネラルマネージャー

 センサー自体が発電を行い、バッテリーも電源配線もいらない、という画期的な漏水センサーが登場した。少量の水による発電と、その微弱電力を無線通信に利用する技術を組み合わせて実現した。バッテリーと電源配線が不要で水滴レベルの水漏れを検知できるセンサーは世界初だという。

 半導体の設計開発・製造を手掛けるエイブリックが大成建設と共同開発し、2019年7月に発売した「バッテリレス漏水センサ」である。エイブリックが立命館大学と共同研究してきた「CLEAN-Boost」と呼ぶ技術によって、発電した微弱電力を蓄電・昇圧する。

「センサーの数が増えるにつれて、(解決しなければならない難問として)バッテリーの問題が必ず出てくる」と、エイブリックCEOオフィスビジネス・ディベロップメントユニットの武内勇介ジェネラルマネージャーは開発動機を説明する。

 IoT用の各種センサーが大量に設置されれば、センサーを動かすための大量のバッテリーが必要になる。センサーを長期間稼働させるためにはバッテリーの点検や交換の手間が必要になることもある。また、膨大な数の使用済みバッテリーが適切に回収されないと、バッテリーからの液漏れによる健康被害や、破裂や発火による重大事故を招きかねない。IoTはそれで本当にスマートな社会を生み出せるのか――。

発電した微弱電力を蓄電・昇圧し無線発信

 エイブリックの「バッテリレス漏水センサ」は、2種類の金属を織り込んだ細長いリボン状のセンサーと、短距離無線通信規格のBluetoothで無線通信を行うモジュールからなる(写真)。リボン状のセンサーは水が浸みるとごくわずかな電気が発生する仕組みになっている。センサー自体が発電した電力を無線通信に用いるので、バッテリーや電源ケーブルはもちろんのこと、通信用の配線もいらない。このため建物や設備への設置が非常に容易になる。

写真 エイブリックが開発した「バッテリレス漏水センサ」(エイブリック提供)