キャズムを越えて本格普及へ!VRの活用トレンド

VR技術の活用が進むと、ビジネスシーンはどう変わるのか

JBpress/2020.3.26

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研修指導プログラムの3D化で、指導効率を向上

 顧客に対して空間や体験を提供するビジネスでVRを活用すれば、「場所」の概念を超えて価値を共有できるようになる。この他、VRのトレーニングプログラムを提供し、より短い期間で技術の取得を目指す試みもあるという。製造現場の作業員や、サービス業のスタッフに向けた研修指導プログラムがそれにあたる。

「自動車の生産工程のソリューションとしては、整備士の方のトレーニング用のAR(拡張現実)やMR(複合現実)コンテンツが考えられます。ARで実際の整備プログラムを一度作ってしまえば、世界中の工場にそのプログラムを展開することが可能になるでしょう。加えて、MRであれば実際に作業を進める手の動きや部品に重ね合わせてガイドの映像を表示できるため、『この部品をこの部分にはめ込む』といった指示を一目瞭然で伝えられます」(赤津氏)

 研修指導プログラムを映像化する企業は既に多く存在しているが、複雑な手順や細かな手の動きを用いて学ぶ上では、空間上で動作を伝えられるAR/MRコンテンツに軍配が上がるようだ。また、空間上の映像表現であれば、言語の壁を越えられる点も大きなメリットだ。

 最後に、VR活用が進んでいるとされるコンテンツ産業について聞くと、既に従来よりもコストダウンと短納期化を実現している例を紹介してくれた。新たな体験価値を創造するのみならず、生産性向上にも寄与する「モーションキャプチャー」の活用だ。

「VTuberとモーションキャプチャーを使った映像制作手法であれば、絵を1枚1枚描く方法と比べて短期間、かつ低コストでの納品が可能になります。もちろん、3DCGで作っている分、品質を追求するとコスト過多になる可能性も否めません。しかし、かわいいショートアニメを作るような企画であれば、手書きやフラッシュアニメと比べて3分の2程度のコストで制作できるのではないでしょうか」(赤津氏)

 インターネットやスマートフォンに加え、映像系サブスクリプションサービスの普及により、アニメ作品にも短サイクル化の波が押し寄せている。こうした課題がある中で、VR活用が新たな解決策となるのか、今後の動向が注目される。

 今回紹介された以外にも多方面で活用が進むVR技術だが、その可能性は日々広がり続けている。おそらく、人々の認識を変えるのみならず、体験のあり方や日々の習慣を変えるところまで及ぶだろう。赤津氏はこうしたVRのポテンシャルについて、次のようにまとめた。

「100年後に人間の進化論を振り返るとき、VRは必ず登場する技術だと思います。人間のコミュニケーションのあり方を再考したり、5年後、10年後の当たり前を創ったりする上でもVRが重要な意味を持つはず。VRのこれからを知りたい、考えたいと思う方にぜひ本書を手に取っていただきたいです」(赤津氏)