大企業の新規事業開発、上手くいかない3つの理由

「とりあえずやってみる」の乱発の先に待つ悲劇

会田 晶子/2020.2.10

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イノベーター人材は社内にもいる。活用のためのマネジメントを

2つ目の課題について詳しく教えてください。そもそも日本には、イノベーティブな人材が少ないのではないでしょうか?

北嶋 希少であることは間違いないですが、我々の調査やこれまでのプロジェクトの統計から、どんな会社にも3~5%、多い企業だと10%前後の割合で新規事業開発に適した人材がいます。その発掘、活用が課題です。私たちはインキュベーション戦略に基づき、社内外のイノベーター人材と関係性を構築し、事業開発をマネジメントするための概念をIRM(Innovator Relationship Management)と独自に定義して、提唱しています。

 一例として、社外イノベーターの活用がありますが、これは近年広く認知されているオープンイノベーションに取り組む際に重要になります。社外イノベーターの発掘に当たっては、特許や論文を含む精緻なイノベーター人材データベースを活用するケースもあり、Relicでも提携してサービスを提供しています。ただ、再現性を持って新規事業開発を生み出せる組織をつくるためには、社内からの人材発掘も欠かせません。

社内からの人材発掘は、具体的にどのようなプロセスで行うのでしょうか?

北嶋 ケースバイケースですが、ツールを使って定量的なサーベイを行うことで洗い出す手法があります。また、その企業が求めるイノベーターの人物像とはどのようなものか、定義から始めることもあります。また、新規事業を推進していく事業リーダーを支援するために、その母体となる組織から考える必要もあります。専門の組織を組成するところまでいかなくとも、横断的に見られる既存の部署でも、極端なことを言えば、ミッションを理解する部門の上長の存在だけでも構いません。

 強調したいのは、新規事業の推進とIRMの実践は分けて行うべきだ、ということです。新規事業にはリーダーの熱が必要ですし、そこは属人的であっていい。その対極にIRMがあることで、新規事業に対する客観的視点を持てますし、社内にノウハウを蓄積する仕組みになります。