大企業の新規事業開発、上手くいかない3つの理由

「とりあえずやってみる」の乱発の先に待つ悲劇

会田 晶子/2020.2.10

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新規事業が育たないのは、インキュベーション戦略が欠けているから

大手企業の新規事業開発がうまくいかない理由も見えてきていますか?

北嶋 大きく3つの課題があると考えます。1つ目が、インキュベーション戦略の不在です。戦略やストーリーを持たず「とりあえずやってみる」を乱発しても、大手企業において意義や価値ある新規事業はまず生まれません。私はインキュベーション戦略策定において、下図のようなポートフォリオを用い、大きく6つの新規事業開発のアプローチを提案しています。

新規事業開発におけるアプローチの分類

 例えば、「事業的な観点」「組織的な観点」のどちらを重視するか。事業的観点を重視し「自社のアセット優位」で新規事業開発を行うとします。既成の市場で短期の結果を追うなら、ボトムアップ型の手法。逆に、中長期的に潜在ニーズを発掘していくのなら、リスクも大きいですしトップダウン型でなければ実行は困難でしょう。自社アセットが足りないのであれば、M&Aや共同開発など「他社アセット優位」のアプローチの検討も必要になります。

 よくあるのが、中長期的に大きな市場を開拓することが目的なのにボトムアップ型のアプローチばかり実施している例。「新規事業開発はしているが、どれも100億規模に育たない」とすれば、目指す規模感と、時間軸、手段がずれていると考えられます。

 既存のプロジェクトをこのポートフォリオにマッピングすることで、現状が把握でき、どこに注力するか、どうリスクを分散するか。自社の戦略を明確にし、必要に応じて組み直していくことがきます。そうした正確な把握と軌道修正によって、整合性が取れた事業戦略を推進していくことができます。

 大手企業の新規事業開発がうまくいかない2つ目の課題は、新規事業を推進する人材活用ができていないことです。そして3つ目が、属人化させず再現性を持たせて、新規事業開発を次々と生み出す仕組みができていないことです。