政府が掲げる未来社会「Society5.0」実現に向けた具体的な取り組み
では実際にSociety5.0の実現に向けどのような取り組みがされているか見ていこう
●日立製作所「Lumada」
これまで社会インフラや産業エレクトロニクス等を展開してきた日立製作所は、そのユースケースを活用して共創プラットフォーム「Lumada」を提供している。Lumadaは日立の自社のテクノロジーだけではなく、他社とも連携したオープンテクノロジーを推進している。
その一つとしてサンヨーホームズと高齢者向けの生活支援プロジェクトがある。同プロジェクトでは、サンヨーホームズが持つ住まいや介護施設施設と、日立のIoT技術を活用して人と家、街をデータでつなぐことで、家庭での高齢者支援サービスにつなげるとともに、高齢者の生活や行動パターンを分析し、健康を維持するサービスへの展開を目指している。このプロジェクトが広がっていけば、高齢者は安心して元気に暮らせるようになるだろう。さらに、離れて暮らす高齢者の活動内容や日々の変化を捉え、家族に知らせる暮らしの様子見サービス等も展開予定で、こうした取り組みが進めば、高齢者だけではなく、高齢者を支える家族のライフデザインにも影響を与えるだろう。
そのほかにも、医療や介護の現場情報や環境情報をAIで解析することで、健康診断での病気の早期発見や、環境や人によって質が変わらない医療・介護サービスの提供等ができるようになるとともに、社会全体としても医療や介護費用のコスト削減や、現場の人手不足問題の解決に近くだろう。
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●オプティムの「スマートやさい」
季節や天気、農作物の生育状況、食品市場、トレンド等、様々な理由で生産と消費のいずれの変化も大きい農業。オプティムはドローンとカメラを使用して、精密に映像撮影された画像解析から、害虫の早期発見・駆除、不良作物削減をはかることで、農薬使用量を通常の1/10以下に抑える減農薬野菜を生産している。
このように生産自体を効率化するとともに、ロボットトラクター等によって農作業の自働化・省力化をはかることで、農業労働人口が減少しても生産可能なスマート農業を実現することができる。スマート農業は生産だけではなく、自動配送等、物流とも連携することで、消費者が欲しいタイミングで、欲しい農作物を提供できるようになる可能性を持っている。
このようにスマート化といっても一分野だけがスマート化すれば良いのではなく、それに関わるすべてのステークホルダーがスマート化を目指すことで、より一層、全体最適化を進めることができる。特に消費に期限がある農作物においては、食料のロス軽減や安定供給等、社会的課題の解決に直結するため、さらなる展開が期待されている。
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