スマートシティ、FinTech、MaaS…不動産、金融、輸送業界に至るまで、さまざまな業界で急速に進む「スマート化」。それらはなにも各業界内で完結する話ではない。今回はそれらのスマート化の先にある、政府が「目指すべき未来社会」として提唱する「Society5.0」との概要と、「Society5.0」実現に向けた取り組みについてみていこう。
Society4.0までの社会が抱える課題とSociety5.0が実現する社会とは
これまでの社会は、古くは自然と共生しながら狩猟や採集をしてきた狩猟社会(Society1.0)に始まり、農耕を中心として集団を形成し,組織を大きくし“くに”をつくるようになった農耕社会(Society2.0)、産業革命後、工業化により大量生産が可能になった工業社会(Society3.0)へと発展してきた。さらにインターネットの登場により、容易に情報の共有が可能な情報社会(Society4.0)に到達した。
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Society4.0では、情報の共有や作業工程を分野ごとに分断し、高度にシステム化してきた結果、業界や会社内の高品質化や効率化が進んだ。しかし、労働力や行動範囲、工数等、属人的な要素があるために、少子高齢化によって労働力が減少している昨今、十分な対応ができなくなってきている。さらに今後はこうした課題が拡大することが予想される。現在の労働集約型の業務や知識の集積に基づく業務は、人的リソースの限界が経済発展の限界に直結する。そうなれば人口爆発に悩む世界とは裏腹に、人口減少が予想される日本は、取り残されることになる。
こうした課題を前に、政府により「超スマート社会」として新たに「Society5.0」が提唱された。Society5.0とは、IoTによりサイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を連携し、すべての物や情報、人を一つにつなぐとともに、AI等の活用により量と質の全体最適をはかる社会のことである。