優秀かつ意欲的なシニアとの共創で生まれるイノベーション

 健康な高齢者が増加し生涯現役で活躍できる時代を間近に迎え、企業には柔軟な雇用が求められている。2019年5月15日に開催された「未来投資会議(第27回)」では、高年齢者雇用安定法改正案の骨格が発表された。改正案では、70歳まで定年を延長する、定年を廃止する、再就職や起業の支援も行う等、高年齢者の雇用促進についての具体的な内容が示された。

 高年齢者雇用安定法の改正が実施されれば、企業は高年齢者の雇用だけでなく、高年齢の社員の再就職や起業支援も努力義務として取り組まねばならない。政府は、働き方改革でも「年齢にかかわりなく働くことができる企業の拡大」を掲げている。今後は組織対組織の構造から抜け出し、優秀なシニアとの協働も必要不可欠となるに違いない。

 オープンイノベーションに関する取り組みでも、組織同士にとらわれず、プロフェッショナル人材や優秀なフリーランスとプロジェクト単位でイノベーションの創出を図る、というスタイルも当たり前になっていくだろう。プロフェッショナル人材とは、地域企業の経営者の右腕となれるような人材を指す。

 内閣府は、こうした人材が企業で活躍できるよう、プロフェッショナル人材戦略事業を展開している。この事業では、各都道府県に拠点を配置し企業と優秀な人材のマッチングを行う。

 新たな商品やサービスを開発したり、販路を開拓したりして企業の成長に寄与できるプロフェッショナル人材は全国で引く手あまたのようだ。プロフェッショナル人材のニーズは年々高まっており、同事業は2015年10月のスタート以来、毎月相談件数と成約数が伸びている点にも注目したい。

 プロフェッショナル人材のニーズの高まりは、シニア世代のビジネスチャンスでもある。豊富な知識と経験、技術を持つシニア世代は、企業にとって力強い存在となるだろう。意欲があり、即戦力として活躍できるシニア世代の引き合いが増加する未来は想像に難くない。