また生鮮食料品の配送ではないが、おそらくウォルマートの「インホーム・デリバリー」のベンチマークになっているサービスとしては「キー バイ アマゾン 」(2019年1月に「アマゾン キー」からサービス名称を変更)がユニークで、特筆に値するだろう。こちらは、商品の配達員がお客様の留守中にスマートキーを利用して宅内に入ってくるというものだ。

 ウォルマートの「インホーム・デリバリー」との大きな違いは、お客様が、配達員に1回きりの暗証番号を発行するためのスマートロック「Amazon Key」と、配達員の宅内での行動を監視するセキュリティカメラ「Amazon Cloud Cam」という2種類のハードウエアをセットで購入(価格は249.99ドルから)することがサービス開始の条件になるという点だ。ただし、商品の宅配だけでなく、ハウスキーピングやペットの散歩などのサービス「アマゾン ホームサービス」(Amazon Home Services)や、サードパーティが展開するサービスも選択できるというのが「キー バイ アマゾン」の強みになっている。

(参考)「アマゾン キー」のサービスの概要(YouTubeの映像「Amazon Key October 2017」)

ネット通販の基礎体力を強化するウォルマート

 話を今回の主人公、ウォルマートに戻そう。

 ウォルマートはアマゾン恐怖指数(Death by Amazon:アマゾンの台頭で窮地に陥るであろう 企業の株価を指数化したもの)に指定された小売関連企業54社の中では唯一、アマゾンと激しく競い合っている企業である。事実、ウォルマートの2018年11月~2019年1月期の売上高は前年同期比2%増に過ぎないが、ネット通販部門に限れば何と43%も増加した。

(参考)「『デス・バイ・アマゾン』を乗り越える処方箋」(IoT Today、2017年11月14日)

 最近ではグーグルと提携してグーグルスピーカーによる商品注文を始めたり、店舗・配送の効率化のためにマイクロソフトと5年間のパートナーシップ契約を締結したりするなど、ネット通販事業の基礎体力強化にも余念がない(出典:日本経済新聞「『ネットも店舗も総力戦』ウォルマート、アマゾンに対抗」2019年2月22日)。