1カ月単位で利用できるという手軽なIoTサービスが登場した。産業用IoTベンチャーのアムニモが開発した「amnimo sense beta(アムニモ センス ベータ) 以下、amnimo sense」がそれだ。導入に関わる部分をパッケージ化し、データ取得、運用の基本サービスを月額課金のサブスクリプションモデルで提供する。IoTを導入したくても投資余力が乏しく、専門人材もいない中小企業にとって有力な選択肢の1つになりそうだ。

中小企業のIoT推進を阻害する3つの要因とは

 IoTがもたらすインパクトが喧伝されて3~4年が経過した。先端テクノロジーのなかでもIoTは黎明期を過ぎて本格的な普及期を迎えようとしており、その傾向は特に大規模製造業において顕著だ。業務の効率化や生産性向上を目的にIoTの導入が進むほか、先進的企業においては、新たな価値創造やイノベーションの創出にもつなげる取り組みがなされている。

 しかし残念ながら、そうした事例は中小企業からあまり聞こえてこないのが現状だ。その理由は3つある。1つ目は、大企業や中堅企業に比べて、投資余力が低いことが挙げられる。その結果、経営者は「経営効果の見えないものに手を出すリスクは取れない」と尻込みしてしまうのだ。2つ目は、専門知識を持つ人材を確保・育成が難しいことだ。社内で推進組織を置くことができなければ、外部のシステムインテグレーターに導入プロジェクトを委託することになるが、当然、膨大なコストと時間がかかる。そして3つ目は、IoTが新しい価値の創造の手段として大きく捉えられがちであるため、自分たちの業務とは程遠いと判断されがちな点である。現場の苦労している業務をいかに楽にできるかという困りごとの改善とIoTを現場感覚でうまく結びつけられにくいという実態がある。

 産業用IoTベンチャー、アムニモが提供する「amnimo sense」は、そうしたコストと専門知識という中小企業のIoT推進を阻害する2つの要因を取り除くために開発された。アムニモは2018年5月に発足した横河電機の100%子会社である。

 amnimo senseの最大の特徴は、センサーからのデータ取得、運用までに必要な機能をすべて内包している点だ。センサー接続のためのプログラミングや回線契約、クラウド設定などを行わずに“プラグ・アンド・プレイ”で標準機能を利用できる。セキュリティや運用状況はアムニモが監視。サービスは月額課金のサブスクリプションモデルで提供する。


 アムニモのサービス企画責任者、池上大介氏は次のように意気込みを語る。「WiFiやBluetoothなどの無線ネットワークが身近になり、さらに今後、5Gなどによってネットワークパフォーマンスが拡大し、センサーも多様化するなかで、産業用IoTはもはや技術者のためだけのものではなく、一般企業のマーケティングやサービスのなかに浸透していくことになります。そうしたなかで、技術やソリューションがパッケージ化され手軽に始められるamnimo senseの潜在的なニーズは大きいと考えます」

アムニモ株式会社 マーケティング担当 池上 大介氏

低コストで、手軽に始められるIoTのサブスクリプションサービス

 amnimo senseのコンセプトは、“とにかく手軽に始められる”IoTだ。

 アムニモのオンラインショップでサービスを申し込むと、センサーに接続する送信器「エンドポイントデバイス」とゲートウェイの2つのハードウエアが送付されてくる。スタートアップガイドにしたがって接続し、ハードウエアに貼り付けてあるQRコードをスマホの専用アプリで読み込めば、データの取得は自動的にスタートする。

 独自開発したエンドポイントデバイスは、さまざまな種類のセンサーに対応しており、LPWA(低消費電力広域)ネットワークの1つであるLoRa通信を使っているため、データを長時間に亘って取得し続けることが可能だ。センサーから集められたデータはゲートウェイに集約され、クラウドサーバーに転送される。ユーザーは手持ちのPCやスマホから好みの表示形式で閲覧することができる。

 「IoTを実際にどう使えばいいのか分からないといった声は少なくはなく、そうした戸惑いがIoT導入の妨げになっています。そこで、業種や業務別に、用意するセンサーとデータ取得に必要な手順を料理のレシピサイトのように掲載していくウェブサイトを用意しています。サービス開始当初は7ケース程度から始めて、順次掲載数を増やしていきます。またユーザーが導入しやすくするためにこのレシピの設置代行を行うインテグレーションパートナーなどのメニューも検討しています」(池上氏)。

パートナーとの協業でサービス拡大へ

 アムニモは、IoTサービス開発で協業するパートナー「Value Added Partners(VAP)」も順次拡大していく。

 2018年10月に開催された国内最大の家電・IT国際見本市の「CEATEC(シーテック)ジャパン」では、先行事例も紹介された。パートナーはポンプメーカーの株式会社イワキ。工場などの生産設備用ポンプの異常動作を検知、通報する「pump guard(ポンプガード)」サービスで協業中である。

 CEATECの会場では、電機メーカーのほか、建設会社、計測会社など、幅広い業種から来場者が訪れ、具体的なビジネスアイデアを提案されることもあったという。「既存のビジネスにIoTを組み合わせて、サービス化したり、新たな価値提供につなげたいと企業とぜひ積極的に協業していきたいと考えています」と池上氏は抱負を語る。

料金は、1測定点あたり月額1,000円~(ただし、センサーはユーザー自身が用意)。