今後のFinTechが進む道は

 今回は「銀行の変貌」と「キャッシュレス化」を中心にFinTech業界を見てきたが、今後様々な領域においてテクノロジーの導入が加速していくだろう。特に、「GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazonの4社)」のようなデータやテクノロジーを武器にする企業による事業展開は、既に銀行にとって脅威となっている。従来の金融機関はこれまで培ってきた知見や信頼性とテクノロジーを掛け合わせることで、新たな価値を提供していくことが求められる。

 また、FinTech業界が発展し、現金という概念が薄くなっていくことで、個人の信用情報はいっそう重視されるようになっていくだろう。

 現在もクレジットカードやローンの利用履歴、携帯電話のカップは信用情報機関に記録されているが、キャッシュレス化が進めば金融取引の履歴全てがオンライン上に残ることになるからだ。そうなれば、中国で普及が進む「Alibaba」や「Tencent」が展開する「社会信用スコア」のようなサービスが、日本でも広く活用されるようになるのかもしれない。

 今まで何気なく扱ってきた「お金」の意味が変わる日は、近い。