エコシステムを支える「アカデミア」と「兵役」

 また、イスラエルのエコシステムを支えているプレーヤーとして、アカデミアの存在は大きい。「有名なテクニオン・イスラエル工科大学やIDCヘルツリーヤ大学を筆頭に、多くの大学にデジタルラボが設けられ、IoTやロボット、3Dプリンターなどに関する研究が行われています。学生は最終年次にイノベーションプロジェクトが課され、スタートアップに必要なテクノロジーシステム、ラボ、コンピューターなどが提供されます。そして、プロジェクトから生まれたスタートアップが成長した場合、リターンとして利益の一部が大学の収入となるのです」とKama氏は語る。コンピューターサイエンスを学んだ学生の約9割が、卒業後はまず起業するか、スタートアップに就職するというから驚きだ。

 近年では義務教育にも変化が見られるという。中学生には高度な数学教育が施され始めており、企業と連携したイノベーションプログラムが課題として与えられることもある。子どもにプログラミングを教えるCode Monkeyというスタートアップが急成長していることも、人口が約870万人と少なく、一人ひとりの教育に力を入れているイスラエルという国ならではだろう。

 アカデミア、学校教育と併せて、兵役が存在することも若者のスタートアップ志向を後押ししている。チームでの行動や協調性が身に着くだけではなく、兵役の中にはインテリジェンスやサイバーセキュリティなどに特化したコンピューターサイエンスプログラムも設けられているため、このプログラムを修了した若者が、これらの分野に関連したスタートアップで働くケースが多いようだ。