そして、先生に対する教育やサポートも重要ということで、国や関係機関が支援していると報告されている。

 日本の小学校で、そのような教え方をしているだろうか? 日本の高校生が職業選択のひとつとして、起業家を考えているだろうか? このように考えると背筋が寒くなる。

 スウェーデンではどうだろうか? 同レポートでは、スウェーデンにおける起業家教育の学習成果としては、次のようなことを学ぶ機会となるべきであるとしている。

「・個人、組織、企業および社会にとって起業が何を意味するかを理解する。
・アイデアを、プロジェクトをスタートさせるための活動に変える能力を養う。
・プロジェクトを実施し、ベンチャー企業を運営する能力を養う。
・プロジェクトやベンチャー企業を完成させ評価する能力を養う。
・アイデアや製品が、どのように法律やその他の規制によって保護されているかを学ぶ。
・ビジネスメソッドを活用する能力を養う。」

 もちろん、先生に対する教育は重要であり、資金的支援も含め、国の機関が起業家教育を発展させるべく学校をサポートし、促しているとしている。

 このように、特に北欧における小中高レベルの起業家教育は、戦略的に実施されていると同レポートは高く評価している。ぜひ日本の現状と比較してみてほしい。

起業家教育で人々をサポーターに

 さらに、大学レベルにおける起業家教育については、特にスウェーデン西部のヨーテボリにあるチャルマース工科大学の“Chalmers School of Entrepreneurship”が有名である。今年(2018年)10月に名古屋大学で開催された、次世代アントレプレナー育成事業(EDGE-NEXT)の「東海カンファレンス2018」において、同Schoolの教授の話を聞く機会を得た。

 私がスウェーデンに着任していた約30年前には、同国で“entrepreneurship”という単語を聞くことはなかったがと問いかけると、「それはその通りで当時は起業という発想がなかった。自分が教えている“Entrepreneurship”を冠した Schoolも1997年に発足させた」との回答であった。私は1992年にスウェーデンを離任しているので、その5年後ということになる。