総務省発表のデータによると、日本は2060年(平成72年)には人口の39.9%、すなわち2.5人に1人が65歳以上となることが見込まれており、世界でも類を見ない超高齢化社会に突入している。一方で少子化が進んでおり、2000年は1億2,700万人前後で推移していた人口が、2030年には1億1,662万人、2050年には1億人、2060年には9,000万人をも割り込むことが予想されている。

少子・高齢化が進むとともに介護者不足が叫ばれており、厚生労働省の発表によると2025年には約37.7万人の介護職員が不足するという。不足原因としては「低賃金」「重労働」などの理由があげられる。「低賃金」に対しては政府が平成29年度より実施する月額平均1万円相当の処遇改善について、キャリアアップの仕組みなどの制度設計を進めている。もう一つの原因「重労働」に対しては、IoTやロボットなどを活用し介護職員の負担を軽減させるスマート介護にさまざまな企業が参入しているようだ。

ロボホン×Pepper×IoTの連携で見守り支援

ソフトウェア企業のRTC社は、高齢化社会の広がりと介護事業者のリソース不足の深刻化を踏まえ、これまで提供してきたスマートフォンと離床検知センサーによる見守り支援プラットフォームに、ロボットとウェアラブルウォッチを連携させる機能の拡大を発表した。

RTCの見守り支援機器は、体動圧力を検知するセンサーパネル2枚をマットレスの下に敷くだけで、利用者の状態を検知し、離床(ベッドから離れること)する前にセンサー内蔵型Wi-Fiモジュールから知らせる。これまではスマートフォンとパソコンのみの通知だったが、ロボットとウェアラブルウォッチを連携させる機能が追加された。

RTCが提供する介護施設用の見守り支援システム

今回の取り組みでは、コミュニケーションロボットとIoTの開発にて知見がある生活革命を企画・開発パートナーとして更なる介護の質向上を目指している。活用が盛んになってきているPepperだけでなく、新しいコミュニケーションロボットとして注目を集め始めているロボホンや、2017年2月にシリコンバレーで発表されたGoogleの最新OS Android Wear 2.0を使うなど技術的にも先進的な活用事例となっている。

ロボット・ウェアラブルウォッチ(IoT)と連携した見守り支援システム

すでに介護施設でのトライアル実証実験もスタート。入居者が離床した旨をPepperと介護担当者が装着したスマートウォッチへ通知することで、必要な対処を迅速に行えるようになる。また、入居者がベッドから離れそうになった際にはロボホンから声掛けをすることで、不要な離床の予防ができる。今回のような取り組みが増えて、プラットフォームが確立されれば、介護事業者の負担が軽減され、リソース不足も解消されるだろう。