米国・カリフォルニアのインテル本社(写真提供:インテル)

 2016年7月、ソフトバンクが英アーム・ホールディングスを240億ポンド(約3兆3000億円)で買収するというニュースが世界中を驚かせた。

 アームはスマホ向けCPUの設計に特化した会社であり、その設計仕様は業界標準となっている。IT業界の専門家やアナリストの一部からは、3兆3000億円の買収は「無謀な賭けだ」という声も聞かれるが、多くは孫社長の決断を「本格的なIoT時代に向けた強力な布石」と評価している。

 それらのニュースや解説に接していて気になることがあった。インテルは何をしているのか、ということだ。

 インテルは言わずと知れた世界最大の半導体メーカーである。1968年の創業以来、約半世紀にわたりCPUを作り続け、コンピューターを進化させ、IT業界の成長を牽引してきた。調査会社のデータによると、パソコン(PC)に搭載された半導体のシェアは約80%に達するとされている。

 だが、スマートフォンやタブレットの波には乗り遅れた。PCのCPUはインテルの独壇場だったが、現在、スマホやタブレットのCPUは80%以上がアームの設計によるものだと言われる。

 これから到来するIoT時代はスマホの隆盛の延長線上にあると捉える向きが多い。だからIoT時代の覇権を握るのはアームだという声も聞こえてくる。スマホやタブレットの波に乗り遅れたインテルは大丈夫なのか。

クルザニッチCEOが示すこれからのインテル

 インテルは一体どうするつもりなのかと思いつつ、インテルのホームページを見てみると、ブライアン・クルザニッチCEOがインテルの今後の全社的な戦略を説明していた。

 4月に発表した「我々の戦略とインテルの未来」(Our Strategy and The Future of Intel)と題する文章である。