今、日本の産業界ではIoT(Internet of Things)が異常なブームである。
IoTは違う名称で語られることも多い。例えば、Ciscoは「IoE(Internet of Everything)」と呼んだり、GEは特にB2Bの産業財に対して、「Industrial Internet」と呼んでいる。広い概念だと、ドイツがインターネットを活用した第4次産業革命という視点で、「Industry 4.0」という言葉を使っている。
呼び方は様々だが、いずれも個別の端末、機器、製造装置、そして人、がインターネットを介して「つながる」ということを重視している。企業側にとっては、個別機器の売り切りではなく、繋がった全体システムの中で、どのように事業化をするかが問われる。
IoTが事業領域を広げる
例えば、有名なGEの航空機エンジンの事例を挙げるが、GEは「エンジン」から「航空機」、さらには「航空機の運航」とドメインを拡大して事業を捉えている。GEは自社が提供している「エンジン」にとどまらず「航空機」の状態をセンサーで把握し続けている。これにより、航空機のコンディションを最適に維持できるような保守や部品交換を航空会社に提案できるようになっている。つまり、GEは、保守契約を航空会社と結ぶことで、エンジンの売り切りではない安定的なストック型の事業を構築できるのである。
さらに、「航空機」から「航空機の運航」という領域まで視野を広げることで、新たな事業機会を模索している。
例えば、機材と運行状況、運航路線のパターンを最適化することで、複数の部品交換やメンテナンス項目のタイミングを合わせ、機材のダウンタイムを最少化できないか? 機体や天候、整備状況などを分析することで、過剰な予備燃料を削減し、燃費の改善ができないか? 削減した燃料の重量分の搭載荷物を増やして売上を伸ばせないか? といったシミュレーションを行い、航空会社に提案を行っている。