写真提供:日刊工業新聞/Jakub Porzycki/NurPhoto/共同通信イメージズ

 デジタイゼーション、デジタライゼーションを経てデジタル化の最終目標となるデジタルトランスフォーメーション(DX)。多くの企業にとって、そこへ到達するためのルート、各プロセスで求められる施策を把握できれば、より戦略的に、そして着実に変革を推し進められるはずだ。

 本連載では、『世界のDXはどこまで進んでいるか』(新潮新書)の著者・雨宮寛二氏が、国内の先進企業の事例を中心に、時に海外の事例も交えながら、ビジネスのデジタル化とDXの最前線について解説する。第11回は、企業のDX推進に欠かせない人材の育成・調達法について、スバル、ローソン、マクドナルドの事例を基に紹介する。

9000人を対象にしたスバルのDX研修

 企業がデジタル戦略を進める上で大切なのは、戦略遂行の原動力となる技術やノウハウを手に入れたり構築したりすることですが、それとともに重要となるのが、適切な能力を兼ね備えた人材を確保することです。

 そのために必要なのは、DXを推進する組織が人事部と連携して現在の人材能力を評価し、重大なギャップを特定化することです。最近では、こうしたデジタル人材の確保を促進する動きが、さまざまな企業で見受けられます。

 スバルは、技術開発や生産技術、調達・購買といった間接部門に従事する従業員8000~9000人を対象にしたデジタル変革(DX)研修を2024年10月から開始することを発表しています。

 この研修は、将来を見据えた自動車業界の変革がCASE(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)に象徴されることを踏まえ、DXによる業務の効率化や生産性の向上を目的としたものであり、そこで生み出された余剰資源を「知の探索」に充てることで顧客価値を創出するというものです。