写真提供:ロイター/CFOTO/共同通信イメージズ ※No Use China
生成AIのビジネス実装が当たり前になった米国に対し、日本の伝統的な大企業の姿勢は依然として慎重だ。しかし、導入を進める先進企業も確実に増え始めている。『アフターAI』(シバタナオキ著/日経BP)から一部を抜粋・再編集し、AI導入の最新事例と今後の展開を読み解く。
フィンテックと生成AIの融合は、金融の可能性をどこまで広げるのか?
日本を含む世界で進展するフィンテック領域でのAI活用
『アフターAI 』(日経BP)
それでは、実際にフィンテック領域でAIはどのような活用ステータスになっているのでしょうか。まず米国は、特に富裕層向けの金融ビッグテックがAIを活用したフィンテックサービスの導入を進めています。
大手投資銀行のゴールドマン・サックスは、すでにGSAIアシスタントと呼ぶプログラムを1万人の従業員に提供しています。銀行員やトレーダー、資産運用担当者に向けた生成AIアシスタントで、同社の従業員と話をしているかのように業務をアシストします。モルガン・スタンレーも生成AIを導入し、年間数万件のレポート検索を自動化しています。
中国でもビッグテック企業がフィンテック領域のサービス開発を推進しています。大手スマホ決済アプリのアリペイ(支付宝)は、AIエージェント機能(支小宝)を提供しました。テキストや音声でAIエージェントに指示をするだけで、ホテルや交通機関の予約、飲食店の検索などができ、決済まで音声やチャットでAIを通じて完了できるようになりました。
テンセントもメッセージングサービス WeChat(微信)で様々なミニアプリを連携できるAIエージェント機能を提供し、フィンテックとの連携にも適用範囲の拡大を計画しています。日本は金融DXにAIを掛け算する素地ができている段階です。メガバンクだけでなく、地方銀行などでも生成AIを活用する社内PoC(概念実証)が増加しています。






