写真提供:日刊工業新聞/共同通信イメージズ

 生成AIのビジネス実装が当たり前になった米国に対し、日本の伝統的な大企業の姿勢は依然として慎重だ。しかし、導入を進める先進企業も確実に増え始めている。『アフターAI』(シバタナオキ著/日経BP)から一部を抜粋・再編集し、AI導入の最新事例と今後の展開を読み解く。

 生成AIはマーケティングをどう変えるのか? そして活用の際に考えるべきポイントとは何か?

高速化やグローバル化というゲームチェンジ

アフターAI 』(日経BP)

 しかし、それだけではありません。これらの単体のインパクトに目が行きがちですが、効率化の延長線上にある高速化や高回転化によるゲームチェンジにも注目する必要があります。これまで、テレビCMを打って3カ月単位でしかPDCAサイクルが回らなかったマーケティングが、生成AI時代には大きく変わります。

 お客様のインサイトを得た瞬間に、AIエージェントをノンプログラミングで作れるDify​などのクリエイティブツールを使えば、ランディングページ(LP)のプロトタイプがすぐに作れます。

 プロトタイプをSNSにポストして、どのパターンがどのセグメントに刺さったかを検証していけば、あらゆるものがリアルタイム化、ハイサイクル化できるのです。3カ月で2、3種類のPDCAしか回せなかった時代から、1日で20回ぐらい回せてしまうようになるゲームチェンジが起こっているのです。

 16のインパクトの中で、マーケティング領域に影響を及ぼすものとしては、「グローバル」「シームレス統合」もあります。いわゆるグローバル化というと、これまでは英語化することが王道の対応だと捉えられがちでした。しかし、今の生成AIを使えば一気に数十カ国語に展開することも可能です。

 しかもそれぞれの国の文化や風習の中で、表現してはいけないタブーがあればガードレールを用いて許容される表現に変換するとか、最終的には人間にトスアップして表現を整理するといった本当の意味での多言語化、多国展開が容易にできるようになります。