
SUBARU(スバル)は、デジタル技術の急速な発展に伴う事業環境変化に迅速に対応するため、2024年4月に、完全子会社だったスバルITクリエーションズを吸収合併した。この情報子会社の統合に際しCIO(最高情報責任者)として任に当たった辻裕里氏に、日清食品ホールディングス元CIO喜多羅滋夫氏が、統合の狙いとプロセス、CIOが果たすべき役割について聞いた。
情報子会社の統合で重視した「制度・業務・心の整合」
喜多羅滋夫氏(以下、敬称略):辻さんはCIO(最高情報責任者)として、スバルと情報子会社であるスバルITクリエーションズの統合を進められてきました。統合の概要と、辻さん自身の取り組みについてお聞かせください。
辻裕里氏(以下、敬称略):自動車業界において100年に一度の大変革期といわれて久しいですが、スバルを取り巻く環境には、厳しい環境規制、BEV(Battery Electric Vehicle=バッテリー式電気自動車)へのシフト、新興メーカーの台頭といったものがあります。
こうした難局を、“ひとつのスバル”として乗り越えるには、IT部門についても、“ひとつのIT”となることが大切だということで、30年来、別会社だった情報子会社を2024年4月に統合しました。
技術部門のITの部門もまとめ、海外現地法人のCIOなどの専門家を招致しグローバルのITチームを作るなどして、IT部門のワンチーム化を図ったわけです。
当時、親会社であるスバルと情報子会社との間で、互いに無駄が非常に多くありました。決裁を取らないと発注できなかったり、業務が重複していたりしたことがよくあったのです。スバルの子会社であっても、スバルの一員というより1つの情報会社として動いている状況でした。
そこで、情報子会社の統合においては、子会社のメンバーにもスバルの一員だと思ってもらうために、じっくりと働きかけました。








