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 食品業界の中でクラウドやAIの活用など先進的DXにいち早く取り組んできた日清食品グループ。サイバーセキュリティについても最新装備の導入と運用体制の構築を進めている。この背景には、経営トップの強力なリーダーシップと、社員のセキュリティ意識を高めるための地道な取り組みがある。グループ全体のITガバナンスとセキュリティ部門を統括するグループITガバナンス部部長の樋渡亮二氏に、セキュリティ向上に向けた施策について話を聞いた。

経営陣の危機意識がセキュリティ強化の原動力

――日清食品グループはDXだけでなくセキュリティ体制についても最新のシステムを装備するなど先進的な取り組みをしています。なぜそれができるのでしょうか。

樋渡亮二氏(以下・敬称略) 当社日清食品グループのセキュリティ体制のベースとして、私が強く感じるのは、セキュリティに対する経営陣の危機意識の高さです。他の企業が攻撃、被害を受けるなどの状況を見るにつけ、経営陣からIT部門には「うちは大丈夫か?」という質問が、常に投げ掛けられています。

日清食品ホールディングス グループITガバナンス部 部長の樋渡亮二氏(撮影:酒井俊春)

 当社は以前から、情報システムやデジタル活用に関して外部の専門家から経営陣に説明する場を設けており、特にセキュリティのセッションには、関心を持って参加してもらえています。最新の脅威情報を踏まえ、トップダウンで関与してもらっていることが、当社のセキュリティ対策の大きな後ろ盾になっています。

――グループ会社を含む社内の全端末にEDR(Endpoint Detection and Response)を導入するなど、セキュリティについて大きな投資を実行しています。導入に障害はなかったのでしょうか。