
位置づけはまさにローマの後継
296スペチアーレをワールドプレミアしてから、わずか2カ月。フェラーリから、またもニューモデルが登場した。
その名もアマルフィは、ローマの後継モデルにあたるスポーツカーである。

1960年に公開された映画「甘い生活(La Dolce Vita)」の世界観を現代に再現したことから、「新しい“甘い生活”(LA NUOVA DOLCE VITA)」をキャッチフレーズとして2019年にデビューしたローマは、スポーツ性能だけでなく日常的な使い勝手にも配慮した“ライフスタイル・モデル”として好評を博してきた。
新しいアマルフィも、このローマの基本路線を継承している。アマルフィのコンセプトについて、フェラーリのチーフ・マーケティング&コマーシャル・オフィサーであるエンリコ・ガリエラは、次のように説明した。
「スポーツカーであっても快適性を重視するスポーツカードライバー向けのモデルを座標軸の左側、快適性には妥協してもなによりパフォーマンスを重視するパイロット向けのモデルを座標軸の右側に据えた場合、アマルフィはフェラーリのラインナップのなかでもっとも左に位置するモデルとなります」

さらにガリエラは、このニューモデルが「控えめなエレガンスを提供するとともに快適性にも優れ、様々なドライビングシーンにマッチする」とも語った。まさに、ローマの後継モデルに相応しいポジショニングといえるだろう。

ローマとは異なるディテール
そのせいか、エクステリア・デザインもローマとよく似ている。派手なところはなく、どちらかといえば大人しいスタイリングで、フロントエンジン・スポーツカーの典型というべきロングノーズ・ショートデッキのプロポーションを採用した点などは、ローマとうりふたつと言っても過言ではない。
しかし、じっくりと観察するうち、ローマとは異なるアプローチが取り入れられていることに気づくだろう。

たとえば、フロントノーズの左右に「パッチリと見開いた目」のようなヘッドライトを設けたローマとは異なり、アマルフィでは左右に伸びる黒くて細いベルト状のガーニッシュを設け、その両サイドに薄くてコンパクトなヘッドライトを配している。

ノーズ先端の下側に伝統的なデザインのフロントグリルを残したローマに対し、冷却気の取り入れ口をフロントの低い位置に目立たないようにレイアウトしたことも、アマルフィにより未来的な印象を与えることに成功している。

同様の考え方はリアデザインにも採り入れられていて、全幅に伸びる黒いベルトを設けるとともに、ローマよりも天地に薄い4灯式テールライトを配置することで未来的なイメージを打ち出している。
